『血だるま剣法』がインドで出版
マジですか。
http://indo.sub.jp/arukakat/index.php?itemid=180
↑ちょっと古いエントリなんですが、さっき気が付きました。インドに留学している日本人のブログなんですが、彼が『血だるま剣法』をヒンディー語に翻訳したのだそうです。依頼主が山松ゆうきち(!)というのも衝撃。
「ポケモン」などの日本マンガが、インドで出版されることは過去にもありましたが、すべて英語版でした。ヒンディー語で出るのはこれが初めてであるらしい。しかも、よりにもよって『血だるま剣法』……。この作品については、過去にエントリを書きましたのでこちらを参照してください。インドはカーストがあるから、この作品に理解を示す人もいるかも、と思いましたが、どうやらまったく売れてないようです。まあ、いきなり平田弘史ではなあ。
それより、リンク先の記述で一番驚いたのは、インドでの出版事業を山松ゆうきちさんが行っているということです。この人ベテランのマンガ家さんなんですが、とにかくヒジョーに通好みの作風で……売れているのか、売れてないのかまったくわからない感じでもう数十年やってる不思議な作家さんです。男の情けなさ全開で、かつスットボケた作風、俺は、好きですけどね。
でも、なんで山松さんがインドで出版を? それも現地語でなぜ? 謎は深まります。青林工藝舎の浅川さんあたり、なんか事情をご存じないでしょうか。
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コメント
こんにちは、山松ゆうきち作品は好きでした。知ったのは麻雀マンガなのですが、しがないオッサンが娘のために借金をして勝負するも負け、挽回を期すもまた負け、結局娘が連れて行かれるような?そんな展開ばかりで全く救いが無いのが特徴でした。オッサンが振り込むたびに
「うむ」
とだけ、言うので仲間内で「うむ」が地味に流行りました(笑)。
後年、意外にも青年誌などで見かけ(うむっ)とつぶやきつつチェックしていたのですが、やはり内容は(・・・うむヽ(´д`;)ノ)という感じでした。しかし自分もオッサンになってみると山松作品の救いのなさと実に淡々とした絵柄がなんとも味わいを感じさせるようになっていました。”血だるま剣法”に通じるものもあるように思います。
投稿: 居士 | 2005/04/04 15:58
インド人に平田劇画を読ませようという
山松発想がなんとも不思議というか、
山松さんらしい。
これ自体がギャグに感じてしまいますね。
でも、インドの方の読後感を聞いてみたい
ものです。
<ダルマ>という仏教的なイメージが
感じられるんだろうか。
ヒンドゥではどうなんでしょうね?
今後、日本のマンガももっともっと
アジア圏を越境していくんでしょうが
やはり最低線のマーケティングが必要
ですよね。
『血だるま剣法』は、みなもと太郎さんの
いう「平田弘史にはギャグ・センスがある」
という視点から読み直す必要があると
思いますね。
腹を傷つけ蛇腹状態にして樹に登る
なんて、<リアル>ではない。
山田風太郎忍法的な発想です。
マジに考えたら、笑ってしかるべき
光景です。
それが平田パワーで描かれると、リアルに
思い込まされてしまう。平田残酷美学の
マジック!ですよ。どなたか、彼の諸作品
に当たって、そのギャグとリアルの
<あやうい接点>を検証して欲しいですね。
投稿: 長谷邦夫 | 2005/04/04 21:46
本当、こういう局面で山松ゆうきちさんの名前が出るとは驚きですね。
投稿: たけくま | 2005/04/04 23:42
売れる要素が見当たらないあたりが
男の大事業という感じでシビレますね。
投稿: 五合 | 2005/04/05 00:46
インドで、ヒンディー語で。
素晴らしすぎます。
彼の国こそカースト制でガンジガラメになってるのですから、部落問題的なリアクションがどう出るのか興味深々です。英語でないということはローカーストに読んでもらいたいと意識してるのではないでしょうか?
投稿: トリル | 2005/04/05 01:31
山松さん、昨年の9月あたりからインドに行ってます。その経緯や目的については僕も聞いてますがおそらく帰国した後に作品にしてくれるでしょう。ちなみに向こうに持っていったのは平田弘史作品、臣(とみ)新蔵作品、山本まさはる作品などだったはずです。なぜはじめに「血だるま剣法」を選んだのか、なぜ英語ではなくヒンディ語にこだわったのか、おそらく山松さんなりの考えあってのことだと思います。山松さんに電話してどこで「血だるま~」を売ってるのか聞いたら「雑貨屋とかさ、あと道端」だそうで。「マンガ教室もやろうとしたんだけどさ、だ~れも来ないんだよ。おっかし~なと思ったらこっちって机がないんだよな。机がなきゃマンガ描けないよ。こ~れは俺も気付かなかった」と聞いてあらためて山松さんに惚れ直しました。というわけで予定通りであればそろそろ帰国すると思われます。竹熊さん、その暁には誌面割きますんで、五合さんおっしゃるとおり「男の大事業」に挑んだ箆棒な山松さんに是非インタビューして疑問をぶつけてください!…とここで仕事依頼するのもなんですが。ちなみに青林工藝舎から山松ゆうきちベスト・オブ・ベスト『山松』発売中です。売れ行きはぼちぼち…なのでこちらもよろしく!
投稿: 浅川 | 2005/04/05 01:35
↑やります、やります、ぜひやらせてください!
ところで『山松』、アマゾンの検索ではひっかからないんですが、どうなってんですかね。
投稿: たけくま | 2005/04/05 03:18
>アマゾン検索
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4883791262/qid=1112750113/sr=1-12/ref=sr_1_0_12/249-3212971-8795503
ありましたよー
投稿: | 2005/04/06 10:17
↑あ、ほんとだ。単に「山松」ってだけの題名ではなかったのね。
投稿: たけくま | 2005/04/06 10:22
大昔にアメリカ旅行中に立ち読みした現地のサブカル系のコミックブックに、つげ義春の「大場電気鍍金工業所」の英語版が載っていたのを思い出しました。日本のマンガをひとつピックアップするのに、なぜあえてこの作品を選んだのかと...
投稿: ノサップ岬 | 2005/04/09 03:55
↑単に、編集者か翻訳者の趣味だったんでしょうねえ。でも、確かにモノには順序があるよね。
投稿: たけくま | 2005/04/09 09:09
臣新蔵先生の名前が出ていましたが
あの方は今、何を描いておられますか?
昔、臣先生の描いた「原初の仏教」という
漫画を読んで、その哲学的な視線に
ビックリした記憶がありますが、竹熊様は御存知でしょうか?
投稿: itoda | 2005/10/04 17:26