【告知】林月光展のご案内
昨年、弥生美術館で石原豪人の画業を回顧する展覧会が開かれましたが、今度は豪人先生のもうひとつの顔である「林月光」の画業にスポットを当てて、中野タコシェで展示会が行われております。
●タコシェHP http://www.tacoche.com/
●林月光展告知 http://www.tacoche.com/event/2005event/hayashigekkou/gekkouhihoukan.html
もうひとつの顔とは、他でもないホモイラストの巨匠という顔であります。豪人先生は、もともと江戸川乱歩の『少年探偵団シリーズ』なんかの挿絵も描いていて、20面相に捕らえられる少年や少女が妙に色っぽいので有名でしたが、特に小林少年の半ズボンからはみ出るフトモモの色気に定評がありました。
その後怪獣ブームが起き、少年マガジンなどに無数の怪獣イラストを描いたわけですが、ブーム終了とともに、70年代に入ると今度は林月光として、画家としての活路をSM雑誌や「さぶ」などのホモ雑誌に見いだしたのであります。しかしそれは生活のためにいやいやというのではなく、もともとソッチ系が好きで好きで仕方がない人でしたので、読者にも喜ばれたのでありました。
晩年は再び一般雑誌の仕事もされるようになり、俺も何度か仕事をご一緒させていただいたのですが、とにかく話好きの先生で、一度話はじめると止まらず、その内容の九割がワイ談という、大変な先生でした。
で、またその話がめっぽう面白いんですよ。あんまり面白いので、「クイック・ジャパン」創刊号で俺がインタビューをしたくらいです。それの一部は拙著『篦棒(べらぼう)な人々』(太田出版)に収録されております。
またこのインタビューのとき、泣く泣く割愛した話題に「漱石の『坊ちゃん』はホモ小説だ!」という先生の持論があり、これは先年めでたく『謎解き・坊ちゃん』(飛鳥新社)として刊行されました。
大正生まれの先生は、旧制中学の時代から「坊ちゃんの乳母の清は実はオカマで、坊ちゃんにホモを仕込んだ」とか、「例の“いなご事件”の真相は、ガチムチ系の山嵐が“おなご”というあだ名の美少年を坊ちゃんの布団に忍び込ませた“おなご事件”というのが正しい」とか、そういう妄想を何十年も考え続けていたのです。
まさに元祖やおいです。
また先生の高田馬場の仕事場にお邪魔しますと、ガラナか朝鮮人参か赤マムシが混入したらしい、妙に薬臭い豪人ドリンクが昼夜を問わず出されるのも謎でした。仕事に興が乗ってくると、机の横のテレビに西洋人の乱交ホモビデオを映して、それをチラチラ横目で眺めながら仕事されるものですから、後ろのソファで待機している俺としては生きた心地がしませんでした。
しかし、俺は先生の趣味ではなかったようで、変なことは一度もされませんでしたが。
そんな先生ですが、「ボクはホモじゃありませんよ」というのが口癖で、あくまでも女好きなのだそうです。ではなぜホモイラストを描くのかというと、女にモテるためだと。「ホモの嫌いな女はいない」というのが先生の持論で、ある意味、時代の先を行きすぎた人だといえるかもしれません。
おっと、うっかり昔話になってしまいましたが、そんなわけでみんなでタコシェに行こう! あと5月11日に高円寺の円盤というお店で、林月光先生を忍ぶトークライブがあります。俺も出演しますのでよろしく!
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この記事へのコメントは終了しました。
コメント
>「ホモの嫌いな女はいない」
「『げんしけん』の元祖だ!!」というような感想が
ネットに出回りそうな歴史的発言じゃないでしょうか。
投稿: | 2005/04/24 13:28
>ホモの嫌いな女はいない
あっもうコメントされちゃいましたね。同上です。
投稿: 本田 | 2005/04/24 15:07
http://www.nikaidou.com/column02.html
投稿: 俺様キングダム | 2005/04/25 00:29
石原豪人先生のお仕事やお名前は知っていたのですが、QJのインタビューを読んでからはその人物全体に興味を持つようになりました。弥生美術館での展示は機会がなくて結局行けなかったので、タコシェにはぜひ行きたいですね。割と近所だし。
投稿: ポン一 | 2005/04/25 12:35
>しかし、俺は先生の趣味ではなかったようで、変なことは一度もされませんでしたが。
こっち系のタイプというのはイラストとかビデオでみると、やはり5分ガリとか板前さんみたいな短髪で、体は水泳選手みたいなおなかが割れている男性が人気あるんでしょうね。
投稿: rosta | 2005/04/27 12:03