「僕のインタビュー術」レジュメ1
明日の朝日カルチャーセンターで講義する「僕のインタビュー術」のレジュメができました。まあレジュメというには結構膨大なものになってしまいましたが、講義では具体例とかビシバシ引用するので、本当にこの内容が2時間で収まるかは不安です。
http://takekuma.cocolog-nifty.com/blog/2006/01/post_1ebf.html
なんかさっき朝カルに電話したら、予約で受け付けた100名のうち、受講料を既に払いこんだ人が60人で、あとの40名はキャンセルの可能性もあるとのこと。もしお暇で関心ある人は、お昼くらいまでに電話入れれば当日券も用意できるかもしれません。いきなり来られても対応できませんので、必ず事前に電話を入れてください。
朝日カルチャーセンター新宿校 03-3344-1998
場所については下のURL参照
http://www.acc-web.co.jp/sinjyuku/top_menu/access.html
■僕のインタビュー術・講義レジュメ
●総論「いいインタビュー、悪いインタビュー」
▲竹熊のインタビュアーとしての不適格性
→対象(インタビューイ)に思い入れがありすぎる場合がある。
→対象よりおしゃべりである(無言の間に対する恐怖心)
→「予断(事前の主観)」からどうやって距離をとるか 自身の失敗例(戸川純インタビュー)から
→自分の「欠点」を「武器」に変えるにはどうすればいいか
▲インタビューには二種類ある
→「報道(ジャーナリズム)」としてのインタビューと「文学」としてのインタビュー。「事実の取材」が報道としてのインタビューなら、文学としてのインタビューは「対象の人間性」を書くこと。
→竹熊のスタイルは「文学としてのインタビュー」。
→インタビューは総合力(企画力+取材力+構成力)
→「報道としてのインタビュー」が陥る危険性。客観を装う主観ほどタチの悪いものはない。それでも権力を批判するための道具としては必要。
▲「他人」を書くことは、「自分」を書くこと
→『聞書アラカン一代・鞍馬天狗のおじさんは』に見る、ルポライター竹中労の名人芸的インタビュー術。
→「文学としてのインタビュー」が失敗する場合。取材者の主観が前に出すぎることの危険性。
→バランスをどうとるべきか。条件は、自分(インタビュアー)と他者(インタビューイ)との間に「接点(共感、共通認識)」を見いだすこと。
→主観が完全に排除できないからこそ、「事前の準備」と「機転」(その場での方針転換)が必要。
●本論
●1 企画術「誰に、なんのために」
▲目的が「報道」か「文学(または娯楽)」か
→依頼者(編集者)との打ち合わせで媒体の意図を知る。
→自主企画の場合、竹熊はほぼ「文学」目的。最初の「壁」は編集部の説得。
→「QJ」誌での「庵野秀明インタビュー」の場合。これは竹熊の持ち込み企画だったが、編集長がアニメ嫌いだった。庵野氏への取材申し込みはすぐにできたが、編集長の説得に手間がかかったという珍しい例。
→企画術は、説得術である
▲依頼術
→雑誌の場合、基本的には編集部の仕事。単行本のための取材や、編集者の連絡では相手に断られたり難色を示された場合、改めて自分で依頼することも。
→電子メールや電話よりも、「自筆の手紙」(郵政メール)が超有効。
→どういう文面が望ましいか。(『月光仮面』の原作者・川内康範氏に出した竹熊の取材申し込みの手紙を例に)
→慇懃すぎる文面は逆効果。
●2 調査術「相手はどんな人間か」
▲成功の決め手は事前調査にあり
→対象が過去に受けたインタビューは入手可能な限り読んでおく。
→対象が著述家の場合、処女作・代表作・最新作は必ず読んでから臨むべし。
→その人に対する世間の評判。いい評判も悪い評判もできるだけ知っておく。
→無名人をインタビューする難しさ。
→事前情報と、あらかじめ自分が持っている「対象への関心」に基づき、質問項目を立てておく。質問項目を事前に相手に送っておけば、こちらの意図が伝わり、時間の節約になる。
▲基本情報の三大入手先
※インターネット(最新情報に強い。家にいながらにしておおまかな情報が検索でき、時には裏話もわかって便利だが、ガセネタも多く、鵜呑みにしてはならない)
※大宅文庫(日本最大の雑誌専門図書館。独特の分類法で、活字系週刊誌・月刊誌の記事をキーワード検索できる。立花隆の一連の仕事は大宅文庫なくしては存在しなかったといわれる。『徹子の部屋』のスタッフがここでゲスト情報を調べていることでも有名。有料で、使いこなしに慣れが必要だが、ライター・ジャーナリストでここを知らない人はモグリといえる)
※国立国会図書館(日本最大の図書館で、大宅文庫ほど使いやすくはないが、新聞雑誌のバックナンバーも検索できる。新聞は地方誌ふくめて全部揃っているので、書籍と新聞は国会図書館、雑誌記事は大宅文庫で調べるのが基本)
●3 取材術「どのように話を訊くか」
▲取材は「格闘技」である。
→宣伝目的以外のインタビューは、基本的に「失礼」な行為であると知るべし。
→著名人の場合、あなたのその質問を、相手はすでに百回受けていると知るべし。
→取材慣れした対象には「公式見解」ができている。有意義なインタビューをとるためには、公式見解の向こうにある「本音」を引き出す必要がある。
→事前調査は、あくまでその人を知るうえでの素材。とらわれ過ぎてはならない。
→人は、自分の「本業」に関してのクチは固いが、「趣味」に関する話題には意外と無防備である。
→(危険な裏ワザ)インタビュアーには「相手を怒らせて」本音を引き出す達人もいる。
→年下へのインタビューは難しい。こちらが年上だと、相手がそれだけで「構えて」しまい、なかなか本音が聞き出せないことがある。相手が年上でも年下でも「誠意ある態度」を示すことが重要。
▲よいインタビューをとるための「勝負所」
→相手の話をただ聞くだけではなく、その話題に関するこちらの意見や情報も積極的に提示するべき。相手がインタビューを「受けてよかった」と思うためにも、こちらの情報を出し惜しみしてはならない。時にはそれが相手には、ギャラ以上のメリットにも。
→ある人物に対する世間の評価と、その人が自ら下している評価には、必ず乖離した部分がある。その乖離を見いだすこと。「こいつは、俺のことがわかっている」と思わせれば、インタビューはほとんど成功したようなもの。
→いずれにせよ肝心なことは、その人が過去に何を言ったかではなく、その人が「今、何に重大な関心を持っているか」である。
→いかに対話によるギブ・アンド・テイクの関係が作れるかが、インタビュー成功のカギ。
▲メモは必ず取るべし
→新聞記者などは、テープレコーダーに頼らず、必ずメモをとる訓練を受ける。慣れればメモだけで、30分~1時間程度の談話であれば文章にすることができる。テープ起こしは結構な時間がかかるので(慣れた人で実時間の3倍は覚悟すべし)、ちょっとしたコメント取材ならメモで充分。
→ただし話が1時間を超えたり、話し手の口調の微妙なニュアンスを活かしたい場合、そして言った言わないを防ぐためにもテープを回すことはやったほうがよい。当然、同時にメモもとるべき。
→テープだけに頼ってはならない理由。機械は必ず故障する。後で聞き返したら全然音声がとれてなかった、取材途中でのテープ切れ、電池切れなどなど。
→私は今、ICレコーダー(ICD-MX50)を愛用。デジタル録音で音質もよく、長時間モードにすれば数十時間記録でき、テープ交換の必要もない。そしてそのままPCにコピーして即、作業に入れる。
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コメント
このシリーズすごく面白い!
投稿: Aa | 2006/03/18 01:14
申し訳ありません。2度もトラックバックをしてしまいました。
投稿: himamushi | 2006/03/19 02:26
なるほど、このブログはまさに不特定多数の「無名人」に対するインタビューになってるわけですね!
すごいや、タケクマ先生!
投稿: どっこい | 2006/03/19 07:56