コミックマヴォVol.5

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2006/06/29

明日の講義は「日米アニメ戦」

Momotarou4_1『桃太郎・海の神兵』(瀬尾光世監督・松竹・1944)

明日の授業の準備をいましがたまでしておりました。明日は多摩美で「戦時下のマンガとアニメ」というテーマでやるんですが、その参考上映用のアニメの編集などを。

かの有名な日本最初の長編アニメでもある『桃太郎・海の神兵』(海軍省後援・瀬尾光世監督・1944)と、ディズニーの戦争プロパガンダアニメを見比べようという内容であります。昨年、ディズニーが第二次大戦中に製作したプロパガンダ作品ばかりを集めたDVD『ON THE FRONT LINES』がアメリカで発売され、この手の講義がぐっとやりやすくなりました。(日本での発売は金輪際ないと思いますが)

Momotarou7_1『桃太郎・海の神兵』(瀬尾光世監督・松竹・1944)

『桃太郎・海の神兵』が公開されたのはちょうど日本の各都市が大空襲にさらされていた最中で、結局三日間で公開打ち切りだったそうなんですが、我らが手塚先生は空襲にもめげず、見に行ったんですね~。それで日本のアニメも、やっとディズニーに追いついたと涙流して喜んだそうですよ。 兵器描写がリアルで、戦闘もプライヴェート・ライアン真っ青の迫力。イヌ・サル・キジが米軍、いや鬼ヶ島の装甲車に突撃して、銃剣で米兵、もとい鬼を刺し殺したりします。

Logitec_hd63_1『空軍力の勝利 Victory Through Air Power』Disney,1943

でも海の向こうではディズニーが『海の神兵』の100倍すごいのをバンバン作っていたわけです。『海の神兵』の前年に完成していた長編『空軍力の勝利』は、日本に勝つには空軍力の増強しかないのだということで、超高度・無着陸の飛行性能をもつ戦略爆撃機を作って、日本の大都市を空爆するという超リアリズム軍事シミュレーションアニメ。東京大空襲の2年前、すでにこの映画の中では東京が跡形もなく破壊されてました。

Logitechd25 Logitechd17 (同上)

なんというか、『海の神兵』の兵器描写も相当にリアルなんですが、ディズニーのはリアルなうえに総天然色テクニカラーですからね。これでは日本は負けるわけですよ……。

大塚英志の『「ジャパニメーション」はなぜ敗れるか』という本に、ディズニーが製作したヒトラー風刺アニメ『戦争をやめろ』(1942)を例に出して、戦時下アニメの日米の違いを論じたくだりがあります。『桃太郎・海の神兵』ではキャラはマンガ風だが、背景や飛行機などのメカ描写は写実的でリアルであることに触れ、これを当時の日本アニメの特徴だとする。そのうえで、ディズニー作品においてはキャラや兵器がマンガ風にデフォルメされていることを指摘して、

《つまり、ディズニーの中では、キャラクター化されるのは、人物だけではないわけです。兵器や武器もじつはキャラクター化されているんです。比較的リアルに描いてあるものもあるけど、やはり、キャラクター化されている。メカニックではなく、生きもののように歪んだりする。あくまでもキャラクター化した飛行機ですね。
 つまり、兵器のリアリズム化は、ディズニーの中では起きていないんです。》
(大塚英志「『ジャパニメーション』はなぜ敗れるか」p69,角川書店)

と書いてるんですが、これ大間違いですね。確かにディズニーはドナルドやグーフィー主演のデフォルメされた戦争アニメも多く作っていますが、一方では精密なメカ描写が要求される軍事教習用アニメや、『空軍力の勝利』のような超リアリズム作画によるアニメもたくさん作っている。そして量的には、後者のリアル系作品のほうが多いんですよ。

大塚氏が出した主張を、俺なりに修正するなら

「アニメやマンガにおける科学的リアリズム描写は、なにも戦時下日本にのみ発生した特異現象ではなく、洋の東西を問わず、戦争という状況においては、表現に科学的リアリズムを強いる傾向がある」

ということになるのではないでしょうか。ただ、大塚氏のこの本での主張は、一部官僚のトンチンカンな主導によって、アニメ振興を国策にしようとしている最近の日本の動きにクギを刺す内容として面白いです。大枠の主張じたいは、俺も賛成です。それだけに、自分の結論を急ぐあまりに、恣意的な資料の使い方をしているところが気になったしだいです。

Soutounokao32_2『総統の顔 Der Fuehrer's Face』(c)Disney、1943

それはともかく、明日はドナルド・ダック主演の反ナチスアニメ『総統の顔』も見せるつもり。確かにプロパガンダ作品なんだけども、傑作ですよこれは。図版は、発狂したドナルドが自分をヒトラーだと(たぶん)思いこんでいる場面であります。この作品はキャラもメカもデフォルメされている例ですね。

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コメント

手塚先生は戦争嫌いのくせに、できのいい戦争アニメには
涙流して喜ぶのだからなかなか無邪気なお方です(笑)

『総統の顔』は日本で放映されると面白いんですがね。
ディズニーに限らずアニメって政治的な背景が脱色されて
「安全」な文化商品として受け取られてますから(←文化
左翼みたいな)。

投稿: | 2006/06/30 02:56

「空軍力の勝利」の爆撃機の画像はすばらしいですね。
「未来少年コナン」のギガントみたいで見惚れるなぁ。

投稿: Stock&flow | 2006/06/30 03:17

ディズニーには「発狂するミッキー」バージョンもありますよね。
トイ業界ではひそかに人気なモチーフだったりします。

投稿: 遥海 | 2006/06/30 03:22

うわ、面白そうな講義ですねぇ。

投稿: thinnerman | 2006/06/30 03:32

>『総統の顔』は日本で放映されると面白いんですがね。
民放だと絶対無理(笑)。ディズニー敵に回すと、
ディズニーランドの特集とかできなくなりますからねぇ…
(NHKの教育とか、BSなら大丈夫か?
たけくまさんの授業みたいにすれば… 無理か)
>大塚英志の『「ジャパニメーション」はなぜ敗れるか』
『箱男』
『大塚英志(with 大澤信亮)『「ジャパニメーション」はなぜ敗れか』の
アメリカンコミックスに関する記述がほとんどすべて間違っていて大変困る件について』
http://d.hatena.ne.jp/boxman/20060607
『アジアとアメリカ』
http://d.hatena.ne.jp/boxman/20060618#p2
>大塚英志が「アメリカのマンガ・アニメをディズニーに代表させる」ことを批判し
>「アメリカのマンガ・アニメの世界になるべく広い網をかけなければ説得力が出てこない」
けっこう『恣意的な資料の使い方』を、あちこちでしてる本なんですかねぇ?
(でも、資料自体は、大澤信亮さんて方が…
本自体は、買ってるんでいいかげん読まないと…)

投稿: naga | 2006/06/30 03:34

ディズニーが反ナチスアニメなんか作ってたんですね。知りませんでした。チャップリンも「独裁者」という映画を作ってますが、内容が当時としては過激なために、FBI長官のエドガー・フーバーににらまれてましたが、ディズニーの「総統の顔」はどうなんでしょう。ディフォルメされたアニメなので過激度は多少緩和されてるとは思いますが、「独裁者」のようにプロパガンダの域をこえた作品なのでしょうか。

投稿: ぷーすけ | 2006/06/30 03:56

>DVD『ON THE FRONT LINES』がアメリカで発売され

え~初めて知りました。

投稿: Aa | 2006/06/30 03:56

大塚の見解が間違ってるのは明らかですが、

たけくまさんの
「戦争という状況においては、表現に科学的リアリズムを強いる傾向がある」
という結論に実証と「何故そうなるのか」という理由付けがありませんね。
つまり大塚説の否定には上の実例で充分だが、たけくま説の証明には不十分。

まず何をして「科学的リアリズム」というか。

なにがどう「科学的」なんでしょう?

「科学的」と「リアリズム」とは違う。

「設計図面」を見れば「科学的」ですね。
しかし、リアルじゃない。
逆に「リアル」だが「科学的」でない絵というのは存在するわけです。
陰影をつけるとリアルになるが必ずしも陰影のつけ方は科学的ではありませんね。

イラストレーターは武器工学の専門家じゃありませんので、いくらリアルにしても「ディフォルメ」はさけられない。

戦車の構造を熟知してて実際に戦車の作動のメカニズムを内在させて絵を書く漫画家は少ないでしょう。
自衛隊員などにカルトな人気のある小林源文とかでもだめでしょう。ディテールは出てますが。

大友のメカ描写も一見リアルだが「科学的」ではありませんね。

趣味で海外で銃を集めてたのですが
銃器描写にしてもしかりで、漫画で満足行く銃器描写が出来ているのは、園田健一の「ガンスミス・キャッツ」ぐらいです。
この人はガンマニアらしく、撃つときの作業描写が実に理にかなってるし、作動のメカニズムが感じられる。
ただし、絵的にはそれほど「リアル」じゃあないんですね。

仮にそうであったと仮定して、「なぜか?」

一つには、単純に、戦時下においては武器、戦闘機なんかが身近になってきたんで、リアルにしないと説得力がなくなってきたというのもありうる。

たけくまさんが上で比べられている空軍力にしても桃太郎にしても、「航空機の質感」が恐ろしくリアルなんですね。アメリカのスムソニアンとかイギリスの博物館で見た動いている航空機の感じが良く出ている。
これは実際に見た生活感としてのリアルで、科学的なリアルではないのだけれど。
現代の航空戦闘機でここまで質感を再現できてるアニメーターは恐らくいませんよ。
ここで「現実的な生活上の身近さ」というのをリアリズムの要素として感じたんですね。

もう一つには、この時期の「アニメーション技術」と「写真」が非常に近い関係にあったこともありうる。

もう一つには、軍から「資料」として提供される写真が、航空写真や見取り図、など本来は純粋な技術屋の観点でとられた写真が多かったのではないか。
これ写真を「トレーシング」してからディフォルメ掛けてアニメ化してるんじゃないかな。
技術屋の観点でとられた写真のトレーシングにたけくまさんは「科学性」を感じたんじゃないだろうか?

いろいろ考えてみると「戦時下」という「政治的状況」よりは、副次的な要因としての「資料との距離」じゃないかと思うんですね。
そのへんはどう思われますか?

ディフオルメやキャラクター化は「絵」に落とされる時点で大なり小なりされている。

最近、第二次世界大戦当時のカラーフィルムの記録を集めた「カラーで見るWWII」というのがアメリカやヨーロッパで、DVDで発売されているんですよ。
私これもってるんですがなかなか面白い。
http://www.amazon.com/gp/product/B00003RQLS/qid=1151631623/sr=8-1/ref=pd_bbs_1/002-9833838-2748826?%5Fencoding=UTF8&v=glance&n=130

白黒で知ってた世界がカラーになるわけです。
カラーでヒットラーが動いてる。
資料としてのカラー写真が日本ではアメリカほど普及していなかったというのもあるんじゃないかな。
いちいち細部の色を記録するのは手仕事では膨大な手間ですから。

投稿: ぼぼ | 2006/06/30 10:54

↑ええと、ここで「科学的リアリズム」というのは、大塚氏の本(「ジャパニメーションは…」)で使われている言葉をそのまま借用しております。詳しい定義や用例は大塚さんの本を参照してください。

投稿: たけくま | 2006/06/30 11:03

了解。

大きく見て、
戦争とリアリズムは関連しているというのが、あってるようでもあり間違ってるようでもあり。

その辺のまとめ方に多少「引っかかり」を感じますね。

投稿: ぼぼ | 2006/06/30 11:32

>>大塚の主張自体については基本的に私は同感だ
(↑引用、箱男)
>>大枠の主張じたいは、俺も賛成です。

箱男さんに続いて、たけくまさんも大塚イジリですか。みんなに嫌われてるんですかねぇ・・・クラスで積極的に手を上げて意見するのはいいんだが、自分の意見をさもクラス全体の意見でもあるかのように、先生に抗議してしまうような生徒なんでしょうか・・・彼はw
まあ、ボクが言えることは・・・

もっとやってください!
ぐわぁ、プロパガンダか・・・こんな濃い授業受けてみてぇ

投稿: 情苦 | 2006/06/30 11:58

大塚英志ってあちこちで間違いが指摘されて、ガセネタばっかりのパチモンのイメージになった。本人の不勉強が悪いだけだが。

投稿: | 2006/06/30 12:03

特殊例を一般化して扱うと、おかしなことになるということですね。
こういう事実もある=こういうことが普通だ、とはならないわけで。
「自分の認識」のみで論証すると、やはりこういう弊害がおきるのではないかと。

投稿: くま・極光 | 2006/06/30 12:31

大塚さんの言ってること自体はトテモ面白いと思うんですがね。
ここでいつだったか言われてた「情念の人」というのは的を射た評言だと思いました。

投稿: ぬ | 2006/06/30 13:02

 そうそう、あの本はとても困るんですよ(w
 ここで竹熊さんが言及しておられる『空軍力の勝利 Victory Through Air Power』だって、実物を見てないにしても『なぜ敗れるか』で資料として参照している『ミッキー・マウス―ディズニーとドイツ』(カルステン・ラクヴァ、現代思潮新社)でどういう作品かはかなり詳細に論じられているのに、戦時中にヒトラーがディズニー映画観てた話だけ引いてそこは無視している。
 困ったもんだと思います。

投稿: boxman | 2006/06/30 13:23

たけくま先生の講義ってストリーミングとかで見れないものでしょうかね?
やっぱ美大行きたかったなぁ…

「海の神兵」私も見ましたが、確かに動きがすごかったです。
感動しましたw

投稿: みどる | 2006/06/30 14:28

  タケクマさんが修正してる3行で気になった点が2つある。「アニメやマンガにおける」云々とあるが、ここにはアニメの話しかなく、マンガの例は全然あげられてないのに、アニメ「やマンガ」とつけくわえてしまっていいのか?──ってゆう件。
  もうひとつは「洋の東西を問わず、戦争という状況においては」ってところ。日本とUSAという2国しか比較の対象がない(アニメのある国はほかにもあったのでは?)。さらに、太平洋戦争における場合ひとつしかあげられてない(戦争はこのほかにもあったし、ある)。なのに、この場にかいた内容だけをもとに(この場で)ここまでひろく一般化できるのか?──っていうこと。
  もっとも、ワシはもとの大塚さんの原文をよんでないし、また、この方面の知識も皆無で、ただただ、このエントリーをよんだかぎりでの感想なので、アホなことを書いてる可能性が大で、そのへんは適当にさっぴーて読んでください。

  ただ、そんなことは実はどーでもいー些細な話で、↑にも書いてる人がいるけれど、こんな授業はワシもうけてみたい気になる。実にキョーレツにおもしろそーな話題だ。アニメやマンガをふつうに見たり読みはしても、オタクではないし、業界のことを知ってるわけでも関心もないけれど、この授業は強烈にうけたくなる。業界人やオタクにはさぞかし垂涎モノじゃなかろーか?
  というか、こんなおもしろそーな授業を世間しらずのガキどもだけに独占させておくのは社会的損失じゃないか?
  また、無能な役人がアニメ業界のさかんなことに目をつけて、これをメチャクチャにひっかきまわそうとしてる動きのあることも、ここをよんではじめて知った。「ここでもまたか!」って感じだ。日本の今の役人なんて、いってみりゃあソ連共産党幹部とおんなじで、民がおとなしいのにつけあがり、税金だの年金だのという名の天井も底もないムチャクチャなピンハネで、自分たちだけは汗をながさずラクして金満生活を謳歌している有害寄生獣の群れにすぎん。こんな売国奴連中はとっととソ連にかえれ! って感じだ。

投稿: ビリー・ルービン | 2006/06/30 17:19

長谷先生のブログでも述べたことですけど
大塚氏の言う「ジャパニメーション」というのは「小泉」のことですね。

サヨクが力説するところの軍靴の足音という代物を
JAPANIMATIONの話にすりかえているんです。

宮本大人氏と夏目房氏が
ブログで戦前の児童まんがの歩みについて
とてもよくまとまった要約を載せていました。

名前こそでていなかったけれど(たぶん)
大塚氏の歴史観を横からちくと突いているところがあって
刺激的ですです。

投稿: Aa | 2006/06/30 18:15

>戦争とマンガ
マンガ学会のお題で1度取り上げましたが
時間の関係もあり、表面的にしか触れることが
出来ませんでした。
資料的収穫は内記さんの作品年表でした。
会長呉さんは、2回やってもいいくらいだと
つぶやいていたような気がします。

アニメと戦争~アニメ学会でもやってみたら
これは大きな収穫が期待出来ますね。
たけくま講義は、ぼくも傍聴したいなあ。

投稿: 長谷邦夫 | 2006/06/30 18:24

この講義は面白そうですね。
NHK・知るを楽しむ(旧NHK人間講座)あたりで放映して欲しいです。
下記講演で紹介されていたプライヴェート・スナフーをYOU TUBEで観ましたが確かにレベルが高い。
アニメーションの質も高いのですが、英語が分からなくても意味が分かるのが凄いです。

高畑 勲「戦争とアニメ映画」
>アメリカでは、戦時中、ディズニーも、
>かなり露骨に日本をバカにした短編を何本か作ったはずです。
>日本ではむろん公開されていません。
>面白いのは、軍務についている者たちのためだけに、
>「プライヴェート・スナフー」という滑稽アニメが、
>1942年から1945年まで、ワーナーやMGMのスタッフでかなりの本数作られたことです。
http://kenpo-9.net/document/041124_kouenroku.html#c01

Private Snafu
http://www.youtube.com/watch?v=Lt9oumIPvN4&search=Private%20Snafu

投稿: 忍天堂 | 2006/06/30 19:51

今日の講義面白かったわー。

いや、たけくまさんの講義はいつも面白い。
お世辞じゃないです。
タマビに来てくれてありがとうございます。

今日見て色々感じましたが、一番強く思ったのは
『戦争なんて大嫌い』
てことかもしれない。

ドナルドの「総統の顔」傑作でした。
特にドナルドがめいってサイケなシーンに突入していくとこがたまらんかったです。

投稿: | 2006/06/30 21:10

数年前、NHKBS-1の海外ドキュメント枠で
ナチスのアニメ政策についての番組があり
それによると、ナチはアニメを
宣伝戦の強力な武器と位置付け
国策的にスタッフの育成や制作をすすめ
最終的にはディズニーを陵駕する
劇場用カラー長編を作る計画だったとか・・・
戦局の悪化でそれは頓挫するものの
アニメーターは最後まで優遇され
物資も豊富に支給され、兵役免除だったとか・・・
日本の同じ時期の「桃太郎 海の神兵」が
その制作の最後の方で
どんどん、アニメーターが徴兵されて困った
という話を思い出し、随分事情が違ったんだな
と思ったものです

投稿: 流転 | 2006/06/30 21:33

竹熊さん

 先日は某所でお世話になりました。

 アメリカの戦争プロパガンダ・アニメについてですが、以下の映像や音楽、テキストを収録したアーカイブサイトにも、「スーパーマン」のプロパガンダアニメが何本か入っています。

http://www.archive.org/details/superman_eleventh_hour
http://www.archive.org/details/japoteurs
http://www.archive.org/details/superman_1941

 前の2つは、日米戦開戦後に製作されたものです。3つ目もプロパガンダにカテゴリー分けされていますが、1941年製作なので、ドイツを意識したものかもしれません。現代のアメリカ人(たぶん)が書いている感想も興味深いですね。

 アニメ以外のものもありますので、「world war」や「propaganda」で検索してみてください。検索できたものは、画面左にある「Download」のところからダウンロードできます。

 いずれも「YouTube」にもアップロードされていますが、画質が悪いようです。ちなみに「HITLER'S children」も「Der Fuehrer's Face」も「YouTube」で見られますね(題名で検索してみてください)。

●兵器のリアルについて(私見ですが)

『海の神兵』は、海軍の落下傘部隊の話ですよね? メカに関してディズニーの『Victory Through Air Power』とどちらがリアルかというと、これは立脚点が異なります。ここに掲載されたカットだけの判断ですが、『海の神兵』の飛行機は、一目で海軍の96式輸送機(96式中型陸上攻撃機の武装を取り払った輸送機型)だとわかります。

 本当は、ここのカットだけですと、「一目」では96式陸攻との区別がつきにくいのですが、落下傘部隊を乗せて運んだ機体であろうこと、そして雲中に霞む機体のシルエットに機銃がないことからの判断です。右上隅に見える丸いものは「クルシー帰投方位測定機」という無線装置のループアンテナで、胴体の下に突き出ているのは、たぶん速度計用のピトー管です。このあたり、実物や写真を見て描いたようにリアルです。

 対する『Victory Through Air Power』の機体は、質感はリアルでも、実際にあった機体ではなく、架空機です。日本でいえば海野十三の『浮かぶ飛行島』などの世界に近いのかもしれません(未見なので勝手な想像ですが)。

 ですから、ここに掲載されたカットだけで判断する限り、作画的なリアリティは別にして、どちらが「実在的」にリアルであったかといえば『海の神兵』になるといってもいいのではないでしょうか。

 もちろん作品の主旨や前提が最初から違うのですから、どちらが「科学的」かを比較してもしかたありません。ディズニー側も、実在の航空機を出す必要があれば、『海の神兵』に負けぬリアルさで登場させたことでしょうから。

『海の神兵』でのディテールへのこだわりを見ていると、軍部の要求以上に「作り手のこだわり」があったように思われます。おそらく当時の子どもたちの中には、いまの子どもよりも、このような兵器に対して遙かに豊富な知識を持っていたはずで、そんなマニアックな要求をも満たそうという意気込みも感じられるほど、桃太郎の絵に比べるとメカばかりがリアルです。

 実際、戦前の子どもたちも目にしていたであろう「兵器のリアル」の傍証として、こんなサイトを紹介させていただきます。たぶん、20年前の子どもたちがスーパーカーについて非常に詳しかった程度に、戦前の子どもたちも兵器について詳細な知識を持っていたのではないかと思います。

 http://www.warbirds.jp/heiki/295000.htm

投稿: すがやみつる | 2006/06/30 23:38

ウィキペディア
「アメリカン・アニメーションの黄金時代」
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%A1%E3%83%AA%E3%82%AB%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%82%A2%E3%83%8B%E3%83%A1%E3%83%BC%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%B3%E3%81%AE%E9%BB%84%E9%87%91%E6%99%82%E4%BB%A3
が結構面白いですね。

投稿: 忍天堂 | 2006/07/01 00:26

>戦前の子どもたちも兵器について詳細な知識を持っていたのではないかと

北杜夫の『楡家の人びと』下巻に、軍用機おたくの男の子(≒斉藤茂太)がでてきますね。
写真を撮りまくっていたら間諜とまちがわれて警察に連れて行かれるのです。

みたことのない新型戦闘機(零戦)が飛び立っていく姿を前に
茂太+杜夫(をモデルにした)兄弟ががっちり握手する場面もありました。

投稿: Aa | 2006/07/01 01:08

>対する『Victory Through Air Power』の機体は、質感はリアルでも、実際にあった機体ではなく、架空機です。

航空機のことはサッパリコンですけど、あのB29が実戦にまわされたのは44年の6月とあります。
http://ja.wikipedia.org/wiki/B29

つまり、西太平洋の島々を攻め落として、そこを拠点に日本を爆撃するという
プランは43年時点には既にあったとしても、それを実行するための機体はなかったことになります。

『海の神兵』は東南アジアへの侵攻が描かれた話でした。
『空軍力』が近未来の話だとすれば、『神兵』は実際にあったできごとを
アニメーションにしているわけです。

兵器のリアリティの違いにはこれもからんでいるのではないか、と思います。

投稿: Aa | 2006/07/01 01:19

>すがや様

先日はこちらこそどうもでした(笑)。

ご指摘のリアルに関する件ですが、たしかにおっしゃる通り、立脚点が異なります。『空軍力』は一種の「架空戦」を描いている作品ですので、現実のそれではありません。

『空軍力』で描かれている空襲はアラスカの飛行場から「架空の」爆撃機が飛び立って、高々度から無着陸で東京を空襲するプランでした。制作時はサイパンなどをアメリカが制圧する前でしたので、こうなったのだと思われます。

ただ、製作にあたっては空軍などの全面協力を取り付けていたはずですので、軍事シミュレーションとして43年時点ではかなり「リアル」なものだったと思います(開発中の爆撃機をそのまま出すわけにはいかないので、機体は架空のものになったのでしょう)。また日本の戦艦などの大艦巨砲主義的な「脅威」が、はなから描かれていないことも、米国の冷静な状況分析を物語っていて興味深いです。

ディティールへのこだわりという点では、確かに『海の神兵』はすごいです。パラシュートのたたみ方とか、降下時の金具の取り付けなどものすごく正確に描かれていて、最初にみたときは驚きました。

あと白兵戦が主題になっているので、「死」がかなりリアルに描かれるところも『空軍力』との違いですね。『空軍力』は徹頭徹尾シミュレーションアニメなので、空爆の迫力は描かれていても、町に住む人間がまったく出てこないのが特徴です。

破壊はあっても「死」が描かれていないので、湾岸戦争のときの米軍提供の爆撃映像をふと思い出しました。テイストがそっくりなんですよ。アメリカ人の感覚は変わってないなと思いました、

日本人の感覚だとプロパガンダ映画にも「名誉の戦死」を描きますけど、欧米のそれにはそもそも「死」が描かれない感じがありますね(全部見たわけではないので、断言できませんが)。

今回のエントリでは、そもそも大塚氏の立論が「アメリカの戦争アニメには科学的リアリズムが存在しない」かのような無茶なものになっていましたので、それへの反論もあってこう書いたまでです。日米それぞれに、別の「リアリズム」があるというすがやさんのご指摘はその通りだと思います。

投稿: たけくま | 2006/07/01 01:47

桃太郎・海の神兵は15年くらい(もっとか?)前に
テレビでやってましたよね。深夜ですけど。

投稿: | 2006/07/01 02:41

>日本の戦艦などの大艦巨砲主義的な「脅威」が、はなから描かれていないことも

日本の都市に直接ばらまくのに
軍艦の脅威もなにもないと思いますが

投稿: Aa | 2006/07/01 03:11

>たけくまさん

 突然、しゃしゃり出てきてすみませんでした。ほかの方のコメントに「リアル」の話題があったものですから、つい……。戦記マンガのリアルについてでしたら、新書半冊分くらいは語れると思いますので、何かありましたら、ご指名ください(^_^;)。

 http://en.wikipedia.org/wiki/Victory_Through_Air_Power

 ↑本家のWikipediaを読んできましたが、これ、アレキサンダー・P・セバスキーの書いた本が原作なんですね。アニメにも実写シーンで当人が出ているようですが。

 セバスキーはロシア人で、第1次大戦当時はロシア空軍の戦闘機パイロットとして戦い、その後、アメリカに移住してセバスキー・エアクラフトという航空機メーカーを設立しました。しかし、みずから開発した戦闘機がアメリカ陸海軍に採用されず、結局、自分が設立した会社を追われてしまいます。

 1937年、日中戦争開始後に日本海軍が、アメリカ軍が買わなかったセバスキーの単葉折り畳み脚複座戦闘機を20機以上購入しています。航続距離の長い高性能戦闘機を必要としていたためだったのですが、セバスキーの戦闘機は性能が悪く、まもなく民間に払い下げられてしまいます。やがて零戦が登場したとき、その情報を得たアメリカ航空関係者は、この戦闘機は日本海軍が購入した性能の低いセバスキーのコピーだろうと推測し、自分たちの方が優位に立っていると考えていました。それが間違いだったことは、開戦後にわかるわけですが、それはさておき……。

「Victory Through Air Power」は、セバスキー社を追われていたセバスキーが、空軍の創設と戦略爆撃の考えについて書いた本だそうで、航空機によって真珠湾攻撃という大打撃を受けた後に発売されたせいか、ベストセラーになったようです。本の内容については詳細がわかりませんが、アニメ版の登場人物に、セバスキー自身とともに、ビリー・ミッチェル少将が登場していたところをみると( http://www.imdb.com/title/tt0036497/fullcredits )、本も映画も、彼の「思想」を引き継いだものと思われます(すでに故人だったため資料映像からの登場らしい)。

 このミッチェル少将について書いた拙文があったので、ペーストしておきます。

   * * * * *
 アメリカには、シェンノート以前にも、強硬に空軍の創設を唱えた者がいた。ウィリアム・ミッチェル――通称ビリー・ミッチェル少将である。
 第一次世界大戦において陸軍航空隊の指揮をとったミッチェル少将は、これからの戦争は、空からの攻撃が主力になると、空軍の設立を主張した。航空兵力の威力を実証するために、第一次大戦の戦勝品としてドイツから獲得した軍艦を、空からの爆撃で沈めても見せた。
 それでも空軍の創設はみとめられず、いらだったミッチェル少将は、一九二五年、航空雑誌に、頭の固い軍上層部を批判する論文を書いた。
 しかしミッチェル少将は、この論文が問題となって軍法会議にかけられ、大佐への降格と五年間昇級停止の判決をくだされる。
「このような処分を受けてまで陸軍にいる必要はない」という言葉を残して陸軍を去り、故郷にもどっていったミッチェル少将は、一九三六年、失意のうちに死去するが、それまでに多数の航空戦に関する論文をのこしていた。彼が書きのこした〈戦略爆撃〉の思想が見直されるのは、第二次世界大戦に入ってからのことである。
   * * * * *

 なお、ここに書きましたとおり、アメリカには独立した「空軍」はありませんでした(日本も)。アメリカ合衆国空軍の創設は戦後の1947年になってからで、それまでは陸軍、海軍、海兵隊が、それぞれ航空隊を持っていました。

 ちなみにセバスキー社は、セバスキー自身が追い出されたあと、リパブリック社と名前を変え、「P‐47サンダーボルト」戦闘機を送り出しています。さらにセバスキー自身は、晩年、イオンで浮き上がる怪しげな(?)飛行物体を研究していたそうです。

 Aaさんが書かれていたB-29については、B-17長距離爆撃機の成功を受け、次期主力爆撃機として太平洋戦争開戦前には試作が発注されています。その直後、開戦を受けてアメリカ陸軍は、まだ設計図の上にしかなかったB-29を300機以上も発注します。1943年に初飛行し、実戦配備は1944年6月から。最初はインドのカルカッタを根拠基地とし、中国四川省の成都に中継基地を置いて、ここから日本の九州や満州を爆撃します(初出撃はカルカッタからのシンガポールを爆撃)。しかし成都からでは九州あたりまでしか飛べないため、サイパン、グアム、テニアンの占領後、これらの島が日本本土爆撃の拠点となります。

「Victory Through Air Power」は、アメリカ大陸(アラスカ)からノンストップで日本本土を爆撃するものだ
そうですから、B‐29のさらに未来を行く「仮想戦記」、あるいは「近未来SF」といっていいでしょう。

 前のコメントで紹介した『スーパーマン』の「Japoteurs」にも、アメリカで開発中の超大型爆撃機が出ておりました。アメリカ軍が、日本の航空軍事力に痛めつけられていた頃でもありますので、そんな影響も当然あったのでしょう。

 日本にも、日本から無着陸でアメリカ本土を爆撃するという逆の発想がありました。中島飛行機の創始者・中島知久平が、自社の技術者に命じて長距離戦略爆撃機「富嶽」の開発をはじめますが、結局、不成功に終わっています。

 アメリカ本土から無着陸で敵地を爆撃できるようになったのは、2001年の911テロ事件の後に開始されたアフガニスタン侵攻からですね。このとき、そして、その後のイラク戦争でも、B‐2爆撃機がアメリカ本土から飛んでいます。この長距離爆撃を可能にしたのは、空中給油の技術でした。

『海の神兵』のカットに出てくる96式輸送機は、映画公開時には10年選手の旧型機でした。映画『ハワイ・マレー沖海戦』では実機が飛んでいるはずですので、現役機だからといって隠すつもりもなかったのだと思いますが。もっとも「零戦」の名称でさえ、これが一般に公開されるのは、昭和18年になってからでした。

「大艦巨砲主義」についてですが、アメリカ海軍太平洋艦隊は、真珠湾攻撃で主力の戦艦と巡洋艦の大半を失っています。大艦巨砲主義を取りたくても取れない状態にありました。また、戦艦が沈められたことで航空主兵主義への切り替えが早まったともいわれています。そして開戦後の軍艦建造では、空母と輸送船の建造が最優先されました。

投稿: すがやみつる | 2006/07/01 04:25

↑いや、勉強になりました。さすがにお詳しい。

投稿: たけくま | 2006/07/01 10:03

すがや先生も濃いですねえ。
お好きなんでしょうね。
2CHの軍板の方が議論には向いてるかな。

基本的にはAaさんが指摘したように、55年体制的な新サヨクの戦争反対のプロパガンダのラインなんですよ。
あえて指摘はしなかったんですが。
アニメの技術的な問題を政治利用してるのはこういうアニメ評論家達自身じゃないかとも思うわけです。
そのあたり紋切り型の非難からは竹熊氏も自由なわけではない。

そういうの抜きにして面白い素材だと思うのですが。

大塚に突っ込みを入れたというのが、たけくまさんの新しさなんですが、そっから先の結論が飛躍してがあんまりまだ練れてない。
大塚さんは情念と共にすでに時代から取りこぼされてきてるんじゃないかな。

空軍力が理論で桃太郎の方が実戦のリアリズムだというのはすがやさんのご指摘どおりだと思います。

空軍力で気になってたのは「鋼板をあわせたリベット溶接の跡」がないんですよね。
後、射座のつけ方が記号的なんですね。
ただ、流線型のフォルムと塗装のパターン、質感は
USA戦闘機の「リアリズム」をどうしても感じてしまうんですね。

桃太郎の方でピトー管が出てるのは気がついてたんですが、よく見ると「リベット溶接の跡」もキチンと描かれてるんですね。SN比は低いんですが。機銃が無いなと思ったら落下傘部隊用の輸送機だからですか。一番後ろの出っ張りがそうかと思ってました。何なんですかねあの出っ張り?

「両方が白黒であったなら航空機のリアリズムでは桃太郎の方が上」でしょうね。

空軍力にビリー・ミッチェルの情念が詰まってるとすれば、海の神兵や富嶽のエンジンには中島知久平の情念が詰まってる気がします。

で、息子の中村源太郎が「宇宙人東京に現る」を作ってる。
「深夜の定期便」「夜霧の滑走路」父親と同じで「空」が好きなんですね。
(私はパイラ人好きです。wwデザインは万博の岡本太郎。
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B000BV7RJ0/503-2900346-5215139
同じ中村源太郎の「日本漫画映画発達史 漫画誕生」(1971年)って映画もありますね。
ここで、瀬尾「桃太郎の海鷲」を扱っています。
これまだ見る機会がないんですが。どなたかコメントして頂けませんか?
「日本漫画映画発達史 アニメ新画帖」(1973年)とセットですね。


こうすると、戦時下の航空軍事技術、プロパガンダ映画、全部、戦後の
アニメ、特撮などのサブカルチャーに繋がっているわけです。

別に戦争が絡もうが絡むまいが「夢の系譜」としては同じなわけです。
小松崎茂の戦争画からSFへの変遷も中村親子に二代で起こった変化と
同じラインじゃないですか?
http://www.s-roman.com/komatsuzaki.html

>おそらく当時の子どもたちの中には、いまの子どもよりも、このような兵器に対して遙かに豊富な知識を持っていたはずで、そんなマニアックな要求をも満たそうという意気込みも感じられるほど、桃太郎の絵に比べるとメカばかりがリアルです。
>実際、戦前の子どもたちも目にしていたであろう「兵器のリアル」

この点は非常に共感できますね。
少年メカフェチというか戦後の「鉄ちゃん」達と似たような部分があるんじゃないでしょうか。
花輪和一が「コロボックル」で執拗に「かっこいいな、ぐふぅ」とD51の機関部を描写してるんですが、
似たような元少年の執念を感じますね。彼、六研のガバで逮捕されてますし。

すがやさんも「元少年純度」が異様に高い人なんじゃないかと。
真珠湾では日本の暗号は読まれていて、スケープゴート用のロートル艦しか置いてなかったという話も聞きましたが。

樺島勝一の絵は、1960年代後半ぐらいからアメリカで流行った「スーパー・リアリズム」を思い起こさせますね。
日本でも一時期はやりました。
http://www.museum.pref.kumamoto.jp/event/kikaku/1085992053-1543933/open_000.html
こういうのの伏流が1940年代戦時中のイラスト界や記録映画、写真の中に既にあったんじゃないかと。
しかし、これ、日本初のストーリ漫画?「正ちゃんの冒険」の樺島勝一さんと同一人物なんですよね。

また、「桃太郎・海の神兵」の「漫画映画」や「翼賛漫画」などの分析に必要な別の資料は、当時の戦争記録映画との比較ですね。

これも、下のリンクで「空の神兵」などがDVDで手に入ります。
http://www.works-zero.com/senki.html
実写の「空の神兵」とアニメの「海の神兵」は見比べてみたいですね。歌は知ってるんですが。
戦時下の「プロパガンダ映画」と一言下に唾棄して片付けずに、どのあたりがプロパガンダであったのか冷静に再評価されるべき時期にきているかと。
戦後の特撮との連続性などもかなりあるでしょう。

ヒトラーの国家社会主義ドイツ労働者党体制下のベルリン・オリンピックの記録映画であったレニ・リーフェンシュタールの「民族の祭典」は純粋に政治から離して評価されている。
日本ではこの手の「戦争記録映画」は深夜のTV放映すらされていない。

長くなりました、申し訳ない。

投稿: ぼぼぶらじる | 2006/07/01 15:22

>ぼぼぶらじるさん

 コメントをありがとうございました。

>すがやさんも「元少年純度」が異様に高い人なんじゃないかと。

 つい声を出して笑ってしまいました。いい年こいて、そのとおりだと思います(^_^;)。

 それに、生まれて初めてペンに墨汁をつけて描いたマンガも、こんなんでしたし↓。
  http://www.m-sugaya.com/manga-sample.htm

 ペンの線なんかひどいものですが、でも零戦の垂直尾翼に方向舵調整用のトリムタブという部品がついていたり、離陸時の車輪の引き込み方についてもこだわっています。『ゼロ戦レッド』などは左右の脚を同時に引き込んでいましたが、実際には片側ずつだったわけでして。その点、松本零士先生は、色紙に描く零戦でも、実に「リアル」でした。

 ↓松本先生が生まれて初めて色紙に描いた零戦。
  http://www.m-sugaya.com/gif/zerosen.jpg

 ただですね、サービスで垂直尾翼に「V-103」という機体番号を書いてくださったんですが、これは台南航空隊に所属していた坂井三郎氏の搭乗機で、零戦の21型だったはずなんです。でも、この絵は零戦の後期型にあたる52型ですから、ちょっとおかしいワケなんです。描いていただいたとき(高校1年と2年の間の春休み)に気づいたんですが、サービスだってことがわかっておりましたので、口をつぐんでおりました(^_^;)。

 そんなヤツですから『「ジャパニメーション」はなぜ敗れるか」についても、手塚先生の『勝利の日まで』の解説部分で、「戦闘機と書いてあるけど、これは爆撃機じゃないか。グラマンと書いてあるけど、これはB‐25を描いたつもりじゃないか。双発双尾翼のアメリカ軍機ならB‐25しかないぞ。でも、少しもリアルじゃない!」と、変な角度から突っ込みを入れてしまうんです。

 ま、ここで書かれている「兵器リアリズム」とは、ディズニーアニメ調の消防車などの絵と比較してのことだというのは理解しているんですが、でも、やっぱり「少しもリアルじゃない」になってしまうわけです(困ったもんだ(^_^;))。手塚先生のその後の作品をみても、メカに対する思い入れのようなものはなさそうでしたので、しかたないといえばしかたないんですが。

 でも、たとえば、わちさんぺい氏の描く飛行機は、たとえチョロQのように寸詰まりにデフォルメされた小さなカットでも、やっぱりリアルなんです。原型をわかって描いているから。しかも描いているご当人が「好き」だってことが滲み出ています。

 そういうわけで、アニメや特撮の世界もそうなんでしょうが、マンガ評論においても、マンガを題材に政治や思想を語るのではなく、表現技術などの観点から切り込んだものが好きなわけで、戦後から『マンガ家入門』あたりで止まっている表現技法について、もっと先まで進めていただきたいな……などと思ったりもしているわけです。

 ちなみにぼくは、小松崎茂氏よりも、お弟子さんの高荷義之氏の方が好きでした。高荷氏の表紙絵が目的で「少年ブック」を買っていたこともありますが、やっぱりメカへの入れ込み度がちがうんですね。

投稿: すがやみつる | 2006/07/01 17:08

まあでも『桃太郎』にしても、桃太郎とイヌ・サル・キジが近代戦をしている時点でそもそも「リアル」ではないわけで……(笑)。リアルでないキャラクターが、リアルな実在の兵器で戦闘すること自体があの映画の奇妙な面白さを醸し出しているわけでして。

「何をもってリアルとするか」という基準が、一様ではないわけで、この種の議論で厳密な定義抜きで「リアル」を云々するのは、確かに危険なことだなあと、今回の一連の議論では感じ入った次第です。

投稿: たけくま | 2006/07/01 23:19

オトコノコ純度の高いみなさんですね。

仕事がらみで太平洋戦争については多少頭に詰め込んだ程度なので、
個々の兵器についてはもうお手上げです。

B29の知識は実は『ジパング』でしいれました。ちょうどいま物語が
西太平洋決戦(史実ではなかった)にさしかかっているはずです。
女顔の軍人さん好きであります。


>アニメの技術的な問題を政治利用してるのはこういうアニメ評論家達自身じゃないかとも

戒めですね。

投稿: Aa | 2006/07/02 02:49

>http://www.archive.org/details/superman_eleventh_hour

これ、YOKOHAMAってでてきますけど、あそこって軍港でしたか。
軍艦はYOKOSUKAのような気もするのですが。

それから日本兵の喋っている日本語モドキをよく聴くと
「~アルヨ」と言っているようです。(違っているかもしれない)

投稿: Aa | 2006/07/02 03:00

>すがやさん
ご返事が遅れました。

戦闘機の初めての原稿は何度も拝見してますよ。

>「戦闘機と書いてあるけど、これは爆撃機じゃないか。]
いや、典型的な突っ込みだったんで吹きました。
同じパターンで、
「戦車とあるが、これは装甲車じゃないか!」
もありますね。

それだけでナエナエになるんですね。
リアルじゃなくなる。引っ掛かりとして喉にかかった釣り針のように残り続けるわけです。

銃だと、
セフティONのまま拳銃が火を噴いてたり、
薬莢ごと弾が飛んでたりとか、
リボルバーの癖に斜め上に空薬莢がエジェクトされて
放心するのはありますね。

細かいのになるとリボルバー弾倉のへこみとバレルがずれた位置についてて「こんなんじゃ弾出るかっ!」

>原型をわかって描いている
これは大切ですね。
あと戦闘機や軍用艦で大事なのは、「原寸」を分かってバースを描いてるかって事ですね。大きさの実感というのはなかなか本当に好きでないとわきにくい。

コクピットなどの大きさから自分が本当に乗ったり整備したりする気持ちでないと人間が使うメカとしてのリアリティが出ない。

>チョロQ

アシのいけだ淳一さんに「ゼロヨンQ太」の連載を譲られて、自分で描きたかったっておっしゃってましたね。

ディフォルメの中で「メカの魂」wをつかんでるかという意味での「リアリティ」っていうのもあるんですね。

>戦後から『マンガ家入門』あたりで止まっている表現技法について、もっと先まで進めていただきたいな

このあたり機会があればぜひご自分で書かれてみてはどうでしょうか。
なかなか、他人からは目指されている部分のイメージが湧きにくいと思うんですよ。方向性が分かれば、別の方がインスパイやされて続くと思います。

>高荷義之氏

ミスタータミヤ模型ですね。戦闘機や戦車はやはり、このあたりが極めつけになるんですか。ただ、私の中では余りにもスタンダード化しすぎて逆にリアリティが減ってしまいました。

>たけくまさん

そういう突っ込みは好きですね。ギャグのセンスに通じるものがある。

メカ好きのお子様にはイヌ・サル・キジの近代戦は大人としてスルーできても、速度計の「ピトー管」がついてないのは我慢ならないものです。w

スピードが分からないと目的地点への到着時刻も計算できないし危ないじゃないですか!

基本的にリアリティというのはドラマツルギーの中の舞台装置ですから。

おじさんは、うまく騙して欲しい。

作劇中の計算し尽くされた台詞回しによる「リアリティ」と同じです、現実の会話は言葉が矛盾したり、曖昧だったりがしょっちゅうですが。

大きな意味の記号化=ディフォルメはすべて避けられない。

「科学的」というのも唯物論史観的な幻想に聞こえるわけです。
科学にこんだけ妄想がくっつくわけですから。

投稿: ぼぼ | 2006/07/02 08:54

>ぼぼぶらじる さん
>>「鋼板をあわせたリベット溶接の跡」がないんですよね

えと、第二次大戦時の航空機はジェラルミンを主流とした軽合金製で、鋼板を使ったものはほとんどありません。

ジェラルミンの技術が未発達だった金属機初期にに薄鋼板を使った輸送機が作られたり、大戦末期の日本で資材節約の為に薄鋼製の機体が製作された事はありますが、実戦には出ていなかったと思います(たしか特攻専用機の「剣」の胴体が薄鋼製だった筈)。

後、リベット溶接というのもありえません。リベットは板の合わせ目に穴を空けて通す鋲の事で、その足を潰す事で接合します。
これを言うならリベット「接合」ですね。
飛行機の機体のように薄い素材を溶接するとどうしても歪みを生じるので、経年変化を考えると溶接はできないのです。

ただ第二次大戦末期にドイツで電気溶接によって組み立てた機体が実戦参加してはいますが、これは危機状況にあったドイツが急造の為に部品数の減少と組み立て工数を減らすために行ったもので、他国には例がなかったと思います。

後、第二次大戦時の航空機に使われていたリベットは、機体表面の空気抵抗を減らすための沈頭鋲が主体です。
機体外板に予め皿型の穴を空けておき、そこにすっぽりはまる形の皿頭鋲を入れて接合するので、出来上がりは外板とツラ一になります。
プラモデル等の模型では精密感を出すためにリベットを強調した表現が多くありますが、塗装後の実機の場合は相当近くまで寄らないと鋲の存在を視認するのは難しいです。

とりあえず重箱の隅でした。

投稿: 花筏 | 2006/07/02 11:02

>薄い素材を溶接するとどうしても歪みを生じるので、>経年変化を考えると溶接はできないのです。
なるほど、溶接ではないんですね。
鋲の頭をつぶすのは熱だと思ってました。

鋼板はジェラルミン鋼と言う言い方がある以上、
鋼板でいいかと。

>塗装後の実機

これは現実に動いている大戦当時のプロペラ機は良く見てますので、見えますよ。
私は航空機はあんまり知らないんですが、
実際に乗ったこともありますし。
Duxfordというところのエアショーで世界中の現役プロペラ機が集まるんです。50回以上行ってます。

投稿: ぼぼ | 2006/07/02 12:38

>ぼぼ さん。
行き着けのサイトを一巡りしてきたらレスが付いていたのでびっくりしました。
えと、更に隅っこの隅っこになりますが。

「ジュラルミン鋼」という言葉は初見だったので、ちょっと調べてみたのですが、手持ちの辞書/事典には記載がありませんでした。

・ジュラルミン=アルミニウムに4%程度の銅・マグネシュウム等を加えて強度を上げた合金。
・鋼=鉄に0.8-2%の炭素を添加し、焼き入れ強化可能にした鉄の合金、はがね。
……で、本来全く別の素材です。

また、地球上ではアルミと鉄の合金は比重が違いすぎて製造できないので「ジュラルミン(を含む)鋼」という素材は実在しないと思います。

ただ、Googleで検索してみると、幾つか用例がヒットしました。
一種類は、超ジュラルミンや超々ジュラルミン(通常のジュラルミンより強度が高い合金)の意味で使用。
もう一種類は、比喩的に「軽くて強い(空想上の)金属」という意味で使用されているようです。

「ジュラルミン鋼」という語は誤用か、あるいはまだ一般化されていないのではないかと思います。

後、リベットですが、私も載せてもらった事こそありませんが、第二次大戦当時の機体を間近に見た事は何度かあります。

目が悪いせいもあるでしょうが、私の印象では見えるというより、光の当たり具合で分かる、という程度の感じでしたね。
そこまでのディテールをあの時代のアニメーションに求めるのはちょと酷かと。

それに三次元曲面である機体に等間隔で打たれたリベットを、二次元の動画に再現するのは非常に困難でしょう。
機体の見える角度がちょっと変わればリベットの間隔は不均等に変化するわけで、3Dモデリングソフトがある今ならともかく、当時ではまず不可能だったと思います。

まぁ実際にはそういう技術的な事より、リベット=戦車・蒸気機関車etc=鈍重/古臭いというイメージを嫌った、という面があったのではないでしょうか。

ではでは。

投稿: 花筏 | 2006/07/02 14:43

ジュラルミンは鋼じゃなくて、大公です。

投稿: 南郷力丸 | 2006/07/03 02:21

いったい何人(なんにん)に通じるでしょうか。

投稿: Aa | 2006/07/03 02:52

>花筏さん

まーこの辺になると極端に話が矮小化してどうでもいいんですが。
もうすこし元の話題に関連しつつ発展性のある話題に展開しないと議論の意味はありませんよ。
戦争がアニメに与える影響はリアリティとどう関係があるのですか?

ある意味オタクらしいので付き合います。

ニッケル鋼って言いますね。(岩波版国語辞典に載っています
ニッケルにFeは含まれていませんね。
特殊鋼のモリブデンなどもそうですね。

鋼というのは工業用語で原料としての金属もしくは、
金属塊を指す場合があるんですよ。
鍛鉄で無くてもね。
特殊鋼でググってください。
で、金属板=鋼板なわけです。

一番一般的なアルミ鋼板で検索してみれば。
製造業ではアルミ板という言い方のほうが少ないですね。

クロムモリブデン鋼板は特に飛行機に良く使われますね。
これも検索されてください。
これで包丁やナイフも作られますし、まさに現代の「鋼(はがね)=刃金(和語)」ですね。

本来、鋼という漢字は、会意形成文字で「岡」というのは叩いて「カンカン」鳴る音の模写なんですね。
つまり、何であれ「硬い金属」を表します。
古代中国ではその代表が「鍛鉄」だった。

ゆえに、慣用からも語源からも鋼板で正しい日本語です。

焼きそばや中華そばはそば粉じゃないので間違ってるっていうレベルじゃないかな。

これも、ものすごい細かいことなんすが、
リベットに関しては機種によって違うし正直同じ機種でも作る場所によって感じは違います。
目立ったり目立たなかったり。
工作工具の精度も違いますし。塗装も微妙に薄かったり濃かったり。
戦時のアメリカ人がバリを気にするほど神経が細かかったか御想像に。

何の話ですか?

投稿: ぼぼ | 2006/07/03 10:51

>ぼぼ さん。

お勧めに従って調べてみたところ、返信がかなり長文になってしまいました。
これ以上竹熊さんのサイトのリソースを消費するのはいささか気が引けますので、返信用にブログを用意しました。
http://hanaikada2006.cocolog-nifty.com/blog/
こちらをご覧戴ければ幸いです。

投稿: 花筏 | 2006/07/03 16:00

こじつければ間違いでは無いかもしれませんが、業界ではダレもそう呼んでいないという良い一例>ジュラルミン鋼
ムキにならずに素直になりたい今日この頃であります(嗤

投稿: なかなか寝ない人 | 2006/07/05 23:24

「日本の特殊鋼、最古の記憶」だれかアニメ化してくれないかなあ~。
天の叢雲の剣は別名を草薙の剣といって、天皇の位を示す「三種神器」の1つです。始めは草薙の剣と言いました。スサノオがヤマタノオロチを退治した時に、オロチの腹から出てきたものです。ヤマタノオロチですから当然、場所は出雲となります。つまり安来のハガネ、といえます。一番あっけなかったのは、木原村下が「これが草薙の剣の砂鉄です」と言われたことでした。日刀保たたらの近辺は、出雲の中でも一番優秀な砂鉄を産する場所なのでした。「良い砂鉄は手のひらで揉むとすぐに赤く変色します」木原村下の言葉でした。その通りですぐに手のひらで赤くなりました。天叢雲剣イコール草薙の剣はこの一振りの剣の優秀性を訴えるのではなく、出雲の製鉄部族を支配下にしたこと、あるいは出雲の砂鉄を占有したことの暗示なのでしょう。草薙の剣については、大化の改新の60年後に編纂された古事記に掲載されます。スサノオは蘇我氏を暗示していますので、蘇我氏の占有していた出雲の鉄の利権を天皇が引き継いだ理由を正当化するために暗示している話なのです。

投稿: 名取 | 2007/10/01 11:26

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