入院一週間目
※今回は町田市在住のイシダ君に代理アップをお願いしています。
この年末のクソ忙しい時期、みなさんお疲れ様です。俺は毎日病院で寝ています。わははは。しかもここ1週間すべて点滴とお粥ですので、すでに体重がみるみる減っている実感があります。20日頃の退院までには「5、6キロ減るでしょう」とお医者の先生も言っていました。「入院ダイエット」という本でも書こうかしらん。
俺の脳梗塞の主原因は、どうやら高血圧のようです。日頃血圧なんて測ったことすらなかったのですが、実は相当に危険領域だったらしく、11月30日に病院に担ぎ込まれたときは上が220くらいありました。
その後の応急措置で下がりましたが、それでも上が180前後、下が120前後もあります。俺の場合、どうやら190を超えると気分が悪くなるようです。昨日は一日身動きがとれないくらいグッタリしていたんですけど、測ってみるとやはり193もありました。
降圧剤を飲めば正常値になるらしいですが、脳梗塞はいきなり血圧を下げるのもよくないらしく、現在降圧剤の投与は中止されています。200を超えたら飲むことになってまして、まだ投与がないのでなんとか大丈夫なのでしょう。(と思ったら、さきほど看護婦さんから「今日から血圧の薬を処方します」と言われました)
最初にCTをとったときにはわからなかったのですが、その後MRIをやったら脳の梗塞跡がわかる範囲で6カ所見つかりました(いずれも出血はなし)。医者から「今までよく症状がでなかったね~」と驚かれたくらいです。まあ、40歳を超えると一見正常な人でも2~3カ所梗塞が見つかることは珍しくないそうですが、俺の場合は「ちょっと多い」とのこと。それでも、「みのもんたにも梗塞が5カ所あるが、あれだけ頑張っている。そういう人もいるんだ」とのことでした。
つまり脳梗塞とはロシアン・ルーレットみたいなもので、脳の中でも言語や運動を司る主要箇所がやられることもあれば、記憶野のような比較的どうでもいい場所の場合もあるということです。後者は、「最近物忘れが激しくなったな~」で終わってしまいます。長嶋監督になるか、みのもんたになるかの分かれ目は、案外ちょっとした運の差なのかもしれません。俺なんか今後は物忘れの責任をすべて「脳梗塞ですから」と押しつけることができ、便利になりました。
●
それで病院の看護婦さんなんですが、俺の世話をされている範囲では小西真奈美似・眞鍋かをり似・森三中のチビデブ(名前忘れた)似・あとは宜保愛子似のオバサンなどがいます。歩くとき、まだぐらつく感じが抜けないので、トイレはすべて看護婦さんが車椅子で連れて行ってくださるのですけど、小便の場合は頻繁なので(点滴打っていると一時間ごとに排尿感が出る)溲瓶を使うのですが、それを小西真奈美さんや眞鍋かをりさんがお運びくださるのかと思うと、申し訳ない気持ちでいっぱいになります。
入院生活の不都合は、今書いたトイレの件と、歩行困難な件、外部との連絡が取りづらい件、見たかった『硫黄島からの手紙』が当分見られない件、くらいですかね。あ、そういえばノーパソのキーを打っていて気がつきましたが、左小指の反応がややにぶいようです。「A」とかシフトキーを打つ際によくミスタイプするようになりました。このへんは、これから始まるリハビリでなんとかしていくしかないですね。
しかし、まあ、この程度の障害でとどまって本当に運がよかったです。左足を中心に反応がにぶいとはいえ、感覚もあるし自分で動かすこともできますから。言葉も、ちょっとドモる頻度が増えましたが、もともと俺はドモリなのでどうということはありません。リハビリは、歩行訓練が中心になるようです。
その歩行なんですが、歩いてみると左膝にやや力が入らず、左右のタイミングが微妙にずれて倒れやすくなる、といった感じです。たとえるならパンチドランカーの矢吹丈がホセ・メンドーサと握手しようとして、手を差し出したら目測を誤ってそのままコケてしまったようなものですね。
もちろんこのままでは困るわけですけど、リハビリの先生によれば「日常生活に支障がでない程度には回復するでしょう」とのこと。まあ脳梗塞が完治することはないそうですが(その部分の脳細胞が死んでしまうので)、その周辺の細胞を活性化させて前の代わりの神経として働かせるのがリハビリなのだということです。「流星号にも乗れますか?」と訊いたら「乗れるでしょう」と返事があったので、ほっとしました。
●
ところで、入院2日目に血液検査をしたのですが、なんと驚くべきことに、血糖値もコレステロールも正常でした。いや、もちろんやや高いのですが「正常の範囲内」とのことで、これはまったく意外。すっかり腹が出たおかげでコレステロールがなんとかなって高血圧になったとばかり思っていたので。そういえば昨年の夏に帯状疱疹をやったときにも血液検査をしましたが、各種値は正常だったので安心したことを思い出しました。それ以外にも血圧が上がる理由はいろいろあるんですね。
医者が言うには、「脳の血管が生まれつきか、なんらかの理由で細くなっているのではないか」とのことで、14日あたりに脳の血管検査をしたい、とのことでした。その検査というのが、「太ももから血管にカテーテルを挿入して造影剤を注入し、レントゲンかなんかで脳の写真を撮る」というもの。それを聞いた俺の脳裏には、メメクラゲに噛まれて静脈を切断した『ねじ式』のアイツみたいなイメージが沸いてきたので、思わず「痛いですか?」と聞いてしまいました。
そしたら医者は冷静に「一応局部麻酔しますけど、痛いですよ、挿入するときは」と答えるので思わず「他人の身体だと思いやがって!」と心の中で叫んでしまった。すると眞鍋かをりが「むしろ翌日がツライんですよ。丸一日、動いてはいけないので。動くと出血して大変なことになりますよ~」と脅してきました。
そんなわけで、今は14日が迫ってくるのを、小学校の予防接種の順番待ちみたいに恐れおののきがら待っているのです。
※追記 これ書いた直後、病室が変更になりまして、小西真奈美や眞鍋かをりとは別れるはめになりました。新しい担当看護婦は、黒沢映画『生きる』に登場する小田切みきの顔を、パイナップルにはめ込み合成したような人と、『楢山節考』(木下恵介版)の伊藤雄之助(または『帝都物語』の島田久作)に面影が似ている看護婦さんなどです。
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コメント
看護婦さんに失礼でんな たけくまセンセイ
人の顔のことを言える顔ですかい
投稿: v | 2006/12/07 16:29
言える顔の人がいったら洒落にならないじゃないですか。
投稿: 9 | 2006/12/07 16:43
真鍋かをりナースいいなぁ、と書こうと思ったら、オチが島田久作ですかw さすが転んでもただでは起きませんねぇ。
とりあえずお元気そうで何よりです。この際ごゆっくりご療養ください。
投稿: らっぱ大臣 | 2006/12/07 17:02
今日は、たけくまさんのブログが更新されてて、嬉しいサプライズ!でした。
ご本人からの近況報告で、さらに安心いたしました。
伊藤雄之助さん似の看護婦さん?!興味深いです〜。
14日もその後の経過も、順調に進まれることをお祈りしております。
投稿: もん吉 | 2006/12/07 17:28
竹熊様、お元気そうでなによりですが看護婦さんに失礼ですが、真壁ナースはいいですねw。
なんか、入院費の事を考えると血圧上がりそう・・・
私が出来る範囲でたけくまメモからアフィリエイトで買わせて頂きます。
投稿: akio | 2006/12/07 17:46
島田久作似のナースなら血圧下がりそう。
投稿: い | 2006/12/07 17:51
たしかに綺麗な看護師さんだな・・・と
思いました。
私も交通事故で半年入院しましたが
「歩き方」とかそれまで普通にこなしていたことを
体が忘れてしまっていてしばらく大変でした。
今はバッチリですが。
カテーテルやリハビリは大変だと思いますが、
元気なお姿を拝見する日を楽しみに待っています。
投稿: とりやま | 2006/12/07 18:07
まずはあまり重くないような状況でなによりです。
>小西真奈美や眞鍋かをり
に尿瓶を、って!!
いいなあ・・
入院もまた楽しからずや。
と思ったら!
>小田切みきの顔を、パイナップルにはめ込み合成したような人
そりゃ、人間なんですか?マタンゴなんですか?
まったくとことんオチの付く展開ですねえ!
オモチロイ。
投稿: エイジロー | 2006/12/07 18:10
冒頭部分のみ書体が違うようにおみうけします。
「これはどういうことだろうねホームズ」
投稿: Aa | 2006/12/07 18:45
今回は軽く登場人物紹介で、次回からいよいよプチ青春ドラマの実況が始まると、、、そういう仕込みなんですよね?
それはともかく、重い症状でなくて良かったです。
血圧と体重を下げて健康になって戻ってきて下さい。
投稿: 骨男 | 2006/12/07 18:57
昔の邦画のファンなので
特に「追記」部分、面白かったです!
でも痛いのは嫌ですねえ。お察しします。
人事じゃないわね。
たけくまさんの場合、
亡くなられたお母様が
警鐘を鳴らしてくれたとしか思えません。
年寄り臭いコメントでごめんなさい。
お痩せになって
これ以上モテたらどうするんですか?
投稿: ブラボー | 2006/12/07 19:37
頭が回る元気が出たようで安心しました。
この際、きっちり治して今後の不安材料を取り除けるくらいにする事をオススメします。
…自分も入院までは行ってないですが、通院で治療中です。
あまり無理せず、お医者さん&看護婦さんの言う事聞いて入院生活送ってくださいませ。
投稿: S | 2006/12/07 19:56
>Aaさま
ご指摘ありがとうございます。
修正しておきました。
投稿: イシダ | 2006/12/07 19:57
お体ゆっくり直して下さい!
投稿: たにしんいち | 2006/12/07 20:36
カテーテル検査ということは、剃毛ですね。太股のあたりを。
投稿: 黄海 | 2006/12/07 20:53
小西真奈美や眞鍋かをりに
テイモーされッ!!
クハッ!呼吸困難ッ、にッ!
・・いや・・パイナポーかも・・
投稿: 門弟廃村 | 2006/12/07 21:00
たけくまラジオは続くみたいで何よりです。
二本撮りだからかな(w
ジブリ特集、面白いです!
投稿: 情苦 | 2006/12/07 22:21
造影剤…作っている工場に見学に行ったことが。
造影剤が入ると気分が悪くなると聞いたことがあるので、心配ですが、徹底的に悪いところを見つけるつもりでがんばってください。
投稿: 永田電磁郎 | 2006/12/07 22:22
ほんとによかったですねえ。
退院したら blog も書けるし自転車にも乗れるんですね。
ツイてますよ。
投稿: syuu | 2006/12/07 23:55
たけくまラジオ、聴き終りました。
ネタの割れた手品にえんえん付き合わされた気分です。
投稿: Aa | 2006/12/08 04:43
これからアマゾンで買い物しますよ。
簡単なお見舞い方法があってよかったです。
元気になられたたけくまさんのお仕事と再開できる日を楽しみにしております。
投稿: まついなつき | 2006/12/08 09:11
今はあせらず、治療に専念して下さい。
>または『帝都物語』の島田久作)に面影が似ている看護婦さんなどです。
これは違った意味で安心かも…呪術で治してくれるかも知れませんね(笑)
投稿: 忍天堂 | 2006/12/08 13:55
そして
久作看護婦の笑顔と
パイナップル看護婦の献身的な介護に助けられて
回復に向かう、たけくま氏であった。
(宇宙人に拉致されたような絵しか思い浮かばない)
投稿: に | 2006/12/08 17:44
どのような治療になっているのでしょうか?
発症してすぐにみてもらえたようなので、10日前後で退院⇒リハビリって感じだと思うのですが。
投稿: 医療従事者 | 2006/12/08 18:24
上に「まついなつき」さんのコメントがありますが、漫画家のまついなつきさんですか?
昔、読んだ時は衝撃をうけてスゲーって思いましたね。(よくこれで商業誌に載せたもんだと…)
投稿: 7C | 2006/12/08 20:57
アマゾンでとうとう「ヘンリーダーガー」他買わせて頂きました。
病院では、普段のinput過多の状態から開放されるでしょうから、退院後のoutputに備えて、お医者さん、看護婦さんの許す限りで、妄想に励んで頂くと、無聊も解消されるのえでは無いかと。
投稿: めたろう | 2006/12/08 23:29
「壊れた脳 生存する知」
山田 規畝子 (著)と
「脳障害を生きる人びと脳治療の最前線」
中村 尚樹 (著)
のアマゾンをはっておきますね
投稿: TTJKX | 2006/12/09 00:17
このブログが看護婦にみつかって
看護婦にイジメられる、に2000円
投稿: ひ | 2006/12/09 00:49
細かいご報告を読みますと、やはりコワイですね。ぼくの母も、これで倒れ15日間意識が
戻らず、その後、障害が残りずっと家で過ごし
亡くなってしまった。
人事ではありませんよ。
ぼくにも充分可能性がある。
退院しても、仕事量など無茶せぬよう
やはり平凡なようだが「毎日が健康な昨日と同じ」というリズムを崩さぬよう、極力努力する
ことが大切でしょうね。
ぼくは、今年小説を書いている分が余計な神経を
使っていたので、書けるナと思う時だけチョット
ずつ書きました。
入力できる下書きが出来ていても、ムリせず
大量にはやらぬように心がけていました。
若いときは、力任せに「書きまくる」。
これ、トシと共にセーブして「平均値」で
推移するように習慣をつけていく方が
良いと思います。
投稿: 長谷邦夫 | 2006/12/09 08:49
>7C
それがいいんじゃない!
>まついなつきさん
懐かしいです。
H本デビューの頃、読んでました。
ところで今でも私はモヤシ炒め大好物です。
根っこは取りませんが。
投稿: すれじハンマー | 2006/12/10 03:06
竹熊さんお久しぶりです。「漫画家アシスタント物語」のyesです。他サイトにて、竹熊さんのご病気の事を知りお邪魔させていただきました。
私の母が今年の春に軽い脳梗塞で倒れ、竹熊さんととてもよく似た症状で入院しました。半月ほどで退院後、1,2ヶ月は半身の手足の軽いマヒが後遺症として残りましたが、3ヶ月ほどたった頃には、もうすっかり元気になりしました。
私の母より、はるかに若いであろう竹熊さんの事ですから、きっとすぐ元気なられる事と思いますが、どうか、くれぐれもご自愛ください。
定期的に仕事よりも大事な「仕事」として、自然(海、山、温泉)の中で携帯もPCもない1,2泊の「充電」などする事をお薦め申し上げます。
自分の体も自然の一部。どうか大切になさってあげてください!
ところで、お知らせしておかなくてはならない事があります・・・・。先日、著作権の事で、集英社より「使用権」の許可をいただきました。文書による「著作権の返還」ではありませんが、かなり好意的に私の過去の受賞作品全5作品の営利使用を認めていただきました。
これも竹熊さんのアドバイスの賜物と感謝いたしております!
最後に「漫画家アシスタント物語」に単行本化のオファーがマガジン・マガジン社よりありました事も付け加えさせていただきます。(これこそまさに竹熊さんのおかげ・・・!)
竹熊さんのご回復を心よりお祈りしつつ・・・・・・ 失礼いたします。
投稿: yes | 2006/12/10 06:19
今日は書き込めるのかな?
根拠はありませんが、こもる仕事をしていると血圧上がります(笑)ストレスで上がるっていう話も聞いたことあるので、こもってつめて仕事してると上がるんじゃないかと。
まあ、自分がそういう仕事してるから言ってるわけですが、というか感じますね。
忙しい絶頂の時に血圧はかってみようかしら。
投稿: エルモ | 2006/12/10 16:00
昔、入院していた時
隣のベッドのおじさんがそんな感じでした。
その人は食事制限で塩分が1日数gと制限されていました。
今後の体のケア・食事制限など大変だと思いますが、
お体くれぐれもご慈愛くださいませ。
投稿: 難病持ち | 2006/12/11 23:59
小西真奈美や眞鍋かをりとはウラヤマシイですな。もっともこのブログが看護婦の間で話題になり、森三中とおぼしき看護婦が逆襲にでる可能性もあり、それはちょっと怖いですな。
投稿: rosta | 2006/12/12 21:48
Σ(゚∀゚ ) 上130、下90~100でも「下が高いですねー」言われるんですよおー
お大事に、お大事に・・・
入院経験あるんで分かりますが、一っ切することがないと思います、心中お察しします。
テレビも有料、軽症だったこともありマンガだの動画だの詰め込んでノートパソコンをずっと見ていましたが、
ノートーパソコン女として一部で有名になりましたw
特にオバーチャンが多く、ずいぶん謎めいた目で見られたものですが・・・
な~~~~んにもすることがないより、いいですw
お大事に!!!
投稿: | 2006/12/14 01:56