俺の病状
この暮れに、「竹熊が死んだ」「一命はとりとめたが、再起不能らしい」という噂が流れたらしいです。この際ですので、俺自身の筆で真相を明らかにしておきたいと思います。
まず、死にかけた話は本当です。12月19日に例の血管カテーテル検査をしましたが、これはかなりリスクの高い検査だったみたいです。もちろんお医者から事前の説明はありましたが、「まれに症状が悪化する人がいるけど、まあ千人いて4、5人くらいだから」とニコニコ説明されて、「じゃお断りします」と断固拒絶できる患者なんているんでしょうか。先生も、まさか本当に悪化するとは思ってなかったとは思いますが、実際にはあの世との境まで逝きかけてしまいました。そこからほぼ一日意識不明だったようですが、先生が開頭手術をおこない今度はもちろん成功して、こうして生きているわけです。本当に、俺に死んでほしいと日々願っている人がいるとすれば残念なことでした。
手術後は面会謝絶だったんですが、何人か来まして、俺も半覚醒状態でしたが幸いそのときは意識がありましたので会いました。面会した人は、「やあ」と出迎えた俺の頭にチューブが刺さっているのを見て仰天したとか。俺は平気でしたが。チューブは脳漿を抜いて脳圧を下げるためです。髪を剃っていたのでヘルレイザーみたいに見えたかも。
一番キツかったのはカテーテル検査後で、最初は「傷口が開くおそれがありますので丸一日は手足を動かさないよう縛っておきます」と事前に説明されてたんですよ。まさかそれが数日続くとは思わなかった。ベッドの上でまったく身動きとれないことがあんなにツライなんて。最後なんて泣き叫んでしまいましたもん。「殺されるー」とかですね。
その瞬間秘められたパワーが覚醒し、世界が火の玉に包まれて「光」に触れた人間が次々に塩の柱と化す中、筋肉を2倍ほど肥大させた俺が手のひらをしげしげと見つめながら「これが俺の本当のパワーなのか?」と一人つぶやいてみたいものですが、現実にそんなマンガみたいな話があるはずもなく、実際はウンウン唸りながら数日過ごしました。
それでリハビリなんですが、昨日までは今週にも始まる感じでしたが、今日医者がいうには「2ヶ月はかかる」とのことで、厚木の山奥にあるというNリハビリセンターが空くのを待っている状況だそうです。うまくいけば2月3月をそのままリハビリにあてられ、4月の大学新学期や「サルまん」新連載には間に合いそうです。Nリハビリセンターは温泉地にありますのでお見舞い客にも日帰りで一風呂浴びれる場所があるかもしれませんよ。おたのしみに!
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コメント
うつうつ日記みたいに
割と淡々と書かれてますが、
地獄が目に浮かびました。
高熱で3週間程度の入院経験があるのですが
それだけでも不安でしょうがなかったです。
頑張れと気軽に言わない方がいいかな?
無理ないように竹熊氏!
投稿: ナナシー | 2007/01/11 13:51
>最後なんて泣き叫んでしまいましたもん
我有近似的経験
投稿: Aa | 2007/01/11 14:20
「イヤボーン」は起きなかった!!
考えようによってはですね、
今我々がこうして生きていられるのは、
たけくまさんの秘められた超能力が発動しなかったおかげ・・
「サンキュー、ケンタロー。」
投稿: 門弟廃村 | 2007/01/11 14:59
文から回復ぶりが
うかがい知れます。
いやはや、お大事に。
正月に『パプリカ』観たのは
モロに竹熊せんせいの影響です。
投稿: kitunebuta. | 2007/01/11 15:14
少しずつ回復しているようですが、本当に無理をしないようにしてください。4月をめどになどと考えずに、まずはじっくりと休み、今後の文筆活動の構想を練ってください。
投稿: Father-U | 2007/01/11 15:32
やはり脳の病気はこわいです。
実父も最初は微小な脳出血だったのですが...
よかれと思って受けた根治手術の直後に大出血して今は障碍者です。
少しくらい時間が掛かっても良いですから_ムリせずに_復帰して下さい。
お願い致します。
投稿: shi-ta | 2007/01/11 16:11
たけくま博士おかえりなさい。
ナンバーをつけてもよろしいかと思います。
ってふざけたコメントつけるのも次期早々な気もしますが
ご自愛くださいませ。
投稿: 鮒 | 2007/01/11 17:04
無事回復されつつあるようで、何よりです。これからのリハビリ、頑張ってください。
あと、「その瞬間秘められたパワーが覚醒し…」の話がフィクションだったので大変残念に思います。真・たけくまの物語がこれから始まるものだと期待したのに…
投稿: らっぱ大臣 | 2007/01/11 17:26
仮面ライダーブラックが改造されるシーンを思い出しました・・・
投稿: うりゃうりゃ人 | 2007/01/11 17:27
初詣、竹熊さんの健康祈ってきましたよ。
でも、出版街にほど近い場所の仕事始めの日だったので、その業界っぽい方々がわんさかで(そういうお仕事系の話してたし)、なんか、祈り負けしそうな勢いでした。
そこは常時、銭形平次の顔ハメがあるので、元気になったらその顔ハメ写真で復活報告して欲しいです。
投稿: かなびん | 2007/01/11 19:52
「お大事にしてください」
脳血管障害の根治は困難ですが障害の軽減は可能です。
リハビリに時間がかかりますが、発症前と同レベルまで回復している人も大勢います。
ただし脳梗塞等は大小の差はあっても再発を繰り返しやすいので注意が必要です。
復帰のことを気にするよりも、気長に療養することを優先しましょう。
ところで、Nリハビリセンターでは通用しないわがままって、どんなことなのですか?
投稿: swan | 2007/01/11 20:13
たけくま先生、お声をきけて安心しました。
泣けてきました。先生、人生にムダな経験などありません。
この壮絶な体験をもとに、ぜひ作品を書いてください。
吾妻ひでお先生の傑作『失踪日記』に匹敵する作品が
生まれると、僭越ながら断言いたします。
タイトルは、失礼を承知でいえば『開頭日記』、あるいは
ベタに『死の淵からの生還』でもかまいません。どうか
どうか回復の暁には、この経験を文学作品として昇華して
くださるようお願い申し上げます。
よりパワーアップした竹熊先生を心待ちにいたしております。
どうぞご自愛くださいませ。
投稿: たけくま先生命 | 2007/01/11 20:23
石賢は逝くは、玉吉は休筆するは散々な年末でした・・・そんな中で生還オメ!!
投稿: あみゃの | 2007/01/11 21:21
ぼくは、自分の体験を直接書くという
小説は、すぐ書くべきではない~と
考える。安易だ。
じっくり寝かせた方がいい。
むしろ、その体験・恐怖・幻覚・苦しみと
いったリアリティを、全く他者・想像も出来ぬ
ような物語において書き込んでみる~これこそ
フィクションの醍醐味ではないだろうか。
自己の体験などは、ぼくのように老いて、
想像力そのものが衰えた時期にでも
書けばよい~と、思うのだがどうであろうか。
竹熊さんはまだ若い。
(漱石などの時代と「年齢観」が変わっている)
体力・気力が安定的に戻ったら、
やはり、まずサルまんですよね。
絶対、オモロイものが書ける!
もう一度、書きますが、
「小説は小説の方からやってきます」。
放って置けばよいです。
それと、竹熊さんは吾妻さんではないでしょ。
同じ発想で描く・書くのは「イモ」(ジャズメン用語→チト古いが…)ですよねえ。
やっぱ、まずはブログでしょ。
「軽々リハビリ・ばてばてなダイアリー」
茂木健一郎先生に読ませたいゼ。
投稿: 長谷邦夫 | 2007/01/11 21:24
>ベッドの上でまったく身動きとれないことがあんなにツライなんて
そうなのですよねー。
手術とか臓器細胞のサンプル採取などは全麻か局麻が掛かっているので、そのときだけを見ると患者の負担は軽いんですけど、術後の「絶対安静=動いてはいけない」期間がそれこそ「死ぬほど」辛いんです。
背中は強張って悲鳴を上げるし、肩や首もカチコチに凝って痛むし、傷口は傷むし、眠れないから1日が長くて長くて・・・それが数日も続いたら、吾妻先生の強制入院一日目じゃないですが「やめてくれー、なんでもしますー」って叫びたくなります。
手術そのものより、直後の「絶対安静状態」を乗り切れなくて死んじゃうのかもしれない、と感じましたもの。
リハビリは長い目でこつこつと続けなくちゃいけませんから、根性ですよー、根性。「スポ根」ならぬ「リハ根」です。
投稿: トロ~ロ | 2007/01/11 22:03
竹熊さんの不屈の魂に泣。
病院って怖いところですね。
でもここまで回復されてブログも更新されて、
ご家族やご友人も一安心ですね。
死の淵を彷徨って、
大切なものに気が付きました?
会いたかった人は?
嬉しかった言葉は?
ゆっくり、でもじらさず、
いろいろブログで教えてくださいね!
投稿: たいこ | 2007/01/11 23:24
http://www.japanias.com/
脳に力付けるために紹介します。
たけくま先生ならご存じの可能性ありますが。
「日本語」 なのであえて紹介しますが、ここ2重請求とか、発送忘れ多いので、海外通販知識付いたら他使うようにしてください。
一応、いままでトラブッたこと無しので老舗?の所
↓
http://www.qhi.co.uk/
http://www.vrp.com/
海外の通販しますと、日本人がどんなに真面目なのか分ります・・・。
※ブログ見てる他の方で、宣伝と思う方は見ないで下さい。たけくま先生に
見て貰えて、脳の回復と、健康の参考知識になるだけで十分なので。
投稿: m.d | 2007/01/11 23:27
無事ご帰還おめでとうございます~♪
、、、、、うーん、、、セカンドインパクトが、検査からきた、ということですかね?なぜすぐにP-TA(血栓溶剤)を使わなかったのかも何となくわかりました、動脈の傷が3日間ふさがらなかったので使えなかったんですかね、、、、?
(開頭してどんな治療を行ったの科挙海があります?)
Nリハビリセンター、、、は、、、行っている人がいたと思いますので、評判を調べてみます
私の見た最高ランクは、初台のHリハビリセンターですね、あそこは各階にケーキコーナーが設置されていてゆったりとしたホテルのラウンジにいるみたいです、有名なN監督もいたところです、、、まあコネが無いと無理かと思いますが、、、
介護保険の2号申請はまだでしょうか?脳血管の病気ですので、特定疾病として認定されると思いますが、
医療のリハビリは早い時期にうち切られますが、その後もリハビリを続けたければ、申請だけでもしておくのがいいと思います
(、、、あかがこびりついた血管を管が物理的に押し通って行くんですから、はがれおちて詰まりる可能性はありますね、、、この危険性と検査の有用性を秤に掛けるのかなあ?、、、病院側から言えばすでに危険因子を抱えた体なんだから何をやっても再発は織り込んでくださいということなのかなあ?)
投稿: フェイタン | 2007/01/11 23:35
>>俺に死んでほしいと日々願っている人
で、
これは誰ですか(爆)
投稿: 情苦 | 2007/01/12 00:35
まずは着々と回復に向かわれているようでなによりです。
ゆっくりとご静養ください。
投稿: nomad | 2007/01/12 02:13
さすがに4月というのは無理ではないかと。
まあ、リハビリもネタになるでしょうしゆっくりやってもいいと思いますよ。
焦ってもいい事ないですしね。
投稿: ka | 2007/01/12 02:26
お元気そう?で何よりです。
もしも死んだら、たけくまさんの著書の著作権云々は、どうなるのかが気になりました。
投稿: 忍天堂 | 2007/01/12 02:38
お元気そうで安心しました!
ゆっくりなさって下さい。
ジャンプは毎週目次だけ見るのですが「HUNTER&HUNTER」は去年の新年6号あたりからフツッと連載がストップしたままです。毎週「HUNTER」が載っているかどうかだけチェックするのですが、、、、とりあえずあのキメラアント編だけでも終わらせて欲しいですあの悪い連中をきちんと殺して欲しいです。カイトもちゃんと元に戻して欲しいです。
①敵のインフレ状態になっていること
②念能力による技も出尽きた感があること
③ゴンとキルアの念能力が意外と魅力に乏しい、ゴンはかめはめ波そのまんま
この辺が苦しいんだろうなーとは思っていたのですが、、、
リハビリゆっくりやって下さい!
投稿: たにしんいち | 2007/01/12 03:46
怪しいサイトなんか紹介するなよ。
リハビリのジャマスンナ。
>m.d
投稿: おんごろのデマ | 2007/01/12 09:18
私も、4月というのは焦りすぎだと愚考します。
知り合いにやはり脳梗塞で開頭し、
N沢リハビリセンターに入った方がおりました。
オルガニストであったその方は、リハビリを途中で投げてしまい、
結果、日常生活に支障を残し、一気に老け込む事になりました。
ブログの更新が出来るくらいですから、精神活動文筆活動に復帰できるレベルにはすぐ行けるかもしれません。
けれども、焦って、身体能力の回復をおろそかにすべきではありません。
たとえ半年一年かかろうと、リハビリの最終目標は高く掲げて、妥協すべきでは無い、と愚考します。
投稿: めたろう | 2007/01/12 12:25
喰ってけないじゃん。それだと>半年~1年
飢え死にしたくなければ仕事を早急に再会するしかない。
ここの連中で、募金でもして渡すことができれば少しは違うかもしれないなけれど。
それを誰も言わないのが少しビックリ。
投稿: あ | 2007/01/12 14:25
↑あのな、募金はないだろ。
分ってねえな。
そんなに無理やり「可哀想な人」にしたいのか?
ブログのアフィリで本買えばいいだろ。
>あ
よ。買ったのかよ?口だけか?
投稿: にせロッカー | 2007/01/12 15:04
体が動かせないのは本当に辛いですよね・・・.
想像しただけで脂汗が出ます.
私だったら叫ぶどころでは済まなかったと思います.
何はともあれ一番辛い部分は終わったわけですから,ゆっくりご養生下さい.
投稿: 修蔵 | 2007/01/12 16:17
短いスパンでの日記更新に嬉しいながらも驚きました。先生、本当に無理はなさらないで下さいね。
遅ればせながら『サルまん21世紀愛蔵版』をこちらで購入させていただきました。元々のサルまんは持っておりましたが、未収録作品も多くてとってもお得な内容で大満足でした。途中、何度も笑いころげ、おなかが痛くなりました。
やっぱり先生は天才だと思いました。あんな面白い文章や発想の数々、常人には出来ないです。
ですから先生、どうか焦らずに体をじっくりと治してお仕事を再開して下さい。そして私たちをまた驚嘆させて下さいね。
投稿: だる | 2007/01/12 23:18
>本当に、俺に死んでほしいと日々願っている人がいるとすれば残念なことでした。
そんな、縁起でもない!
竹熊先生にはもう少し長く生きてもらって、生還した加藤茶じゃありませんが「生きている限りバカをやる姿」を見せて頂きたいのですよ。
こんな程度でくたばっていては、我々は退屈でしょうがありませんぞ!
レッツ・リハビリテーション!
・・・何はともあれ、お大事に。
投稿: guldeen | 2007/01/13 03:22
私は足の付け根から、カテーテルを入れて頭の検査をしました。
検査後、止血のため足の付け根に砂袋を乗せて一日動かないで過ごしました。
足の付け根の痛みはひどかったけど、全身が痛みました。
動けないのはとてもつらいですね。
投稿: haruakio | 2007/01/30 23:48
がんばってください。
http://www.h4.dion.ne.jp/~iwatasyo/
喜界島-岩田商店/ビジネスホテル林 黒糖焼酎・ザラメ・黒砂糖・ゴマ菓子・アオサなど自然食品を全国発送中
投稿: kikaijima | 2007/02/07 13:41
竹熊先生、本当ににお久しぶりです。昔、ガイナックスのy賀とT田のところにいた、「さる」こと
S竹です。先生覚えていらっしゃるでしょうか?(先生と茶しながら二人で話をしたこともありましたよね)先生が脳の病気で倒れられたお話を人づてに御伺いして、こうして初めて書き込みさせていただきました。あいかわらず自分は昔の連中とつきあっております。実は自分はあの後、いろいろありまして、いまはリハビリ病院にお世話になっている身です。だから先生のご病気のお話は他人事ではありません。先生のお元気ぶりにうれしくなってついつい書き込みしてしまいました。本当にすいません。突然で。
投稿: S竹 | 2007/07/26 13:05