阿久悠の死去に思う

特にファンだったつもりもないのですが、この度の作詞家・小説家だった阿久悠さんの死去で、訃報を伝えるワイドショーを見ていてある種の感慨を抱かざるをえませんでした。生涯に５千曲ともいわれる膨大な作品を残してますが、代表作の一部は下記のサイトで見る（聴く）ことができます。

●人間万葉歌～阿久悠作詞集（試聴あり）
http://www.jvcmusic.co.jp/-/Discography/-/VICL-61631.html

●本人自薦による２６１作品
http://www.aqqq.co.jp/sakuhin/sakuhin_music.html

　どれも俺の子供の頃からの大ヒット曲ばかりで、これ全部この人だったのかと唖然とさせられます。『ウルトラマンタロウ』とか『宇宙戦艦ヤマト』もこの人なんだよなあ。

ジャンルを選ばない、タフな執筆能力も驚異だけども、団塊から俺みたいなオタク世代にかけての「時代の空気」みたいな曲ばかりで、名曲・名作は数多いが「時代の空気」までになるのはそうはないよなあ、と、同じ物書きとして羨望を覚えます。

言葉の真の意味でのポップ・アーチストなんじゃないでしょうか。これだけの質・量の作品を遺したとなると、向こう５０年は阿久悠の名前も残るでしょう。クリエイターと呼ばれる人間にとって、自分の作品は子供であると同時に「墓碑」でもあるのであって、作品という形で人々の記憶に残ることが最高の墓碑であると思います。

いや、ちょうど先日、母親の墓石を買いに行って、墓石屋に見本が２０基くらい並んでいるだけでカタログすら存在せず、値段も１６０万から５００万くらいして、そのすべてが向こうの「言い値」だったので釈然としない思いを抱いたから、よけいそう思ったのかもしれません。

俺も「墓碑」になるような仕事をひとつくらい遺して死にたいものです。それがあれば骨は海にでも散骨してもらって、墓は「ネット霊園」でいいですよ。