コミックマヴォVol.5

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2007/11/12

【業務連絡】「マンガ評論家」を辞めます

竹熊と現在仕事関係にある出版社各位、またこれから仕事を依頼しようと考えておられる出版社、特に雑誌編集部の方にお願いがあります。

これから年末進行に向け、各社様とも企画立案されたり、すでに動いておられることと思います。ご苦労さまです。それで「今年のマンガ・ベストテン」とか「最新のおすすめマンガ特集」などを考えておられる方もいらっしゃるのではないかと思います。すでに二社から私に打診が来ました。

しかし、誠に心苦しいのですが、ふたつとも辞退させていただきました。

私は「マンガ評論家」と自分から名乗ったことは一度もないのですが、代表作が『サルまん』であったり、マンガに関するエッセイ集を過去に出していますので、世間では「マンガ評論家」と思われているようです。これまでは特に不都合もなかったので、私もそう呼ばれることを許容していました。

自分では名乗ってないのに「辞めます」というのもヘンなのですが、放っておくとそういう仕事ばかりが来るので、ここらで宣言しておくことにします。その都度、事情を説明するのも骨ですので。

そもそも、私は世間で思われているほどマンガを読んでいるわけではありません。これは中学生の頃からそうだったのですが、雑誌は拾い読みで済ませて、もっぱら単行本でまとめて読むタイプだったのです。

80年代までは、それでも話題作は網羅的に読んでいました。高校から23歳くらいまではマンガであればなんでも読んでいました。それで『サルまん』もできたわけですけれども、90年代以降はマンガの巻数も20巻、30巻が当たり前になってきて、結局、冒頭の数巻だけ読んで、あとは読まない(読みたくても読み切れない)ようになってしまいました。

現在はマンガがらみの仕事が入ってから、あわてて作品を通読するというパターンばかりになっております。したがいまして、ここ数年は特に、雑誌社から「今年のマンガのベストテンを」と頼まれるのが苦痛になってきました。読んでないんですから。

世の中には、マンガを読むことがメシより好きだという人がたくさんいます。なんどか会ったことのあるOHPのしばたさんなども、サイトを見る限り今刊行されているマンガ雑誌をほとんど読んでおり、全誌の感想を何年もアップし続けているので頭が下がります。私には絶対できない作業です。ベストテンのような企画は、ぜひともこういう人に頼むべきでしょう。

http://picnic.to/~ohp/
↑しばたさんの漫画に関するWEBページ「OHP」

それに、ここ数年で20代30代の優秀なマンガ評論家が、たくさん出てきています。そういう人はたいていウェブやブログをやっていますので、俺に聞かなくとも簡単に連絡がつけられます。いつまでも竹熊のようなロートルを使う理由はありません。私としても、ベストテンを選ぶためにマンガを読むような倒錯したことは、いつまでも続けられません。

これは読んで面白かったからいいのですけど、先日かわぐちかいじ氏の『ジパング』31巻を二日がかりで通読したら、相当身体にこたえました。かわぐちさんはもう還暦なのに、よくもあのテンションを維持できるものだと、感心してしまいましたが。

私ももう47歳ですし、マンガのオススメ仕事は現役のマンガ読みに道を譲ることにしたいと思います。以後私は「今年のマンガベストテン」のような企画には参加を辞退させていただきます。これからもあくまで自分のペースで、「好きなマンガ」について書くことは続けたいと思いますが、「来週までに十本選んでください」というような依頼はお受けしかねますので、何卒ご了承ください。

※タイトルを「マンガ評論家を辞めます」に変更しました。RSSで読みに来られた方はご注意を。

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ソースは竹熊健太郎先生のブログより http://takekuma.cocolog-nifty.com/blog/2007/11/post_90b5.html それに、ここ数年で20代30代の優秀なマンガ評論家が、たくさん出てきています。そういう人はたいていウェブやブログをやっていますので、俺に聞かなくとも簡単に連絡がつけられます。いつまでも竹熊のようなロートルを使う理由はありません。私としても、ベストテンを選ぶためにマンガを読むような倒錯したことは、いつまでも続けられません。 これは..... [続きを読む]

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