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2008年6月

2008/06/30

ふくしま政美先生の逆襲

5193bql9ebl__ss500_←女犯坊 1 (1) (マンサンコミックス)

先々週の土曜日に、新宿ロフトプラスワンでふくしま政美先生『女犯坊』の新刊発売記念イベントがありました。

このブログではちょうど「マンガ界崩壊を止めるには」のエントリ連載の最中で、それの執筆で手一杯だったため、報告するのが遅れてしまいました。ふくしま先生にお詫び申し上げるとともに、ようやく本の紹介ができてほっとしています。

ちょうど10年前に太田出版から『女犯坊』(滝沢解原作オリジナル版)が復刻され、やはりこのロフトで「ふくしま政美復活祭」が開かれたのでしたが、そこから先生も山あり谷ありの幾星霜、ついに「漫画サンデー」で新原作者(坂本六有)とともに、あの劇画史上最悪最強と呼ばれた竜水和尚が復活したのであります。なんでもこの作品が載ったことで、漫サンの売り上げが3パーセント伸びたという噂まであります。

実は前の復活祭の時には、俺が調子に乗って「先生の原作書きますよ!」と口走ってしまい、そのまま原作をやることになって大変な経験をさせていただきました。

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2008/06/20

京都から帰ってきました

18日と19日、二日間に及んだ京都精華大学での連続講義を終え、さっき帰宅しました。精華大では、昨日は特任講師の大西祥平さん、今日は特任教授の高取英さんと終わってからメシを食いました。昨日は神戸芸術工科大学でフラッシュアニメを教えているルンパロさんも聴講に来てくださって、マンガ界とアニメ界の現状について話に花が咲きました。

それにしても、精華大マンガ学部の教員は自分の知り合いばかりで唖然とします。他大学の類似講座にも知人率が高いので驚きます。ほんの数年前まで、オタクサブカル界隈で蠢いていた人々が、こぞって大学の先生になるなんて事態は想像もできませんでしたよ。まあ、どの大学もオタクやサブカルに縋りたくなるほど、世の少子化が進んでいるということなのかもしれませんが…。俺みたいな人間にとっては都合がいいわけですけれども。

なんというか、商売としてのマンガ界もアニメ界も閉塞しておるわけですけど、閉塞しているのは業界だけで、目を同人誌即売会やネット界に向けるなら、新しい才能も作品も生まれて来ているわけです。才能はそこに存在するのに、それに目配せをして、うまく才能を掬い上げるシステムができていない、あるいは、システムはあってもガタが来ているだけなのだと俺は考えるわけです。

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2008/06/18

マンガとアニメーションの間に(2-3)

■京都精華大学特別講義テキスト

●マンガとアニメーションの間に(2-3)
 第二回「ウォルト・ディズニーをどうとらえるべきか」(3)

●講師・竹熊健太郎

●実写的演出

 リアリズムは演出にも及んでいる。もっとも顕著な例は作品の序盤、女王の命令で猟師が白雪姫を殺そうとする場面である。美しい風景の中で、姫が小鳥と会話している。その背後から迫る猟師。恐ろしい形相がアップになる。ついでナイフを握る手のアップ。その手がぶるぶると震えて、ナイフが落ちる。猟師の心の葛藤が観客に伝わる見事なモンタージュである。あまりにも純真無垢なヒロインを前にして、彼は殺意を失い、その足下にひざまずく。この演出は極めて実写的で、アニメでは冒険であったが、成功している。

 つづく「森の中の逃走」は作品全体でもっとも見事なシーンだ。ただひとり暗い森を逃げる白雪姫。彼女は恐怖でわれを失い、周囲のあらゆるものが怪物に見える。実際、それはただの木や草なのであり、よく見れば背景はそのように描かれている。しかし完全な孤独に陥った白雪姫にとっては、すべてが恐怖の対象なのである。

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マンガとアニメーションの間に(2-2)

■京都精華大学特別講義テキスト

●マンガとアニメーションの間に(2-2)
 第二回「ウォルト・ディズニーをどうとらえるべきか」(2)

●講師・竹熊健太郎

●キャラクターとは何か

 キャラクターとは字義通りに解釈するなら「人物の性格」の意であるが、アニメーションやマンガの世界でこの言葉が使われる場合、背景から独立して行動する「主体」そのものを指す。この場合の「主体」は人間とは限らない。動物や植物、場合によっては機械や岩石など無機物であっても、意志を持ち活動するのがマンガ・アニメのキャラクターであって、それが描線で表現された被創造物である以上、作品内においては人間と等価の存在である。

 もちろん外見が動物や無機物であっても、それが「キャラクター」として認識されるからには、結局それは人間の内面や行動がカリカチュア(戯画)として象徴的に描写された姿にほかならない。その意味ではどのような姿をとろうともそれは人間そのものだといえる。ただカリカチュアであるから、写実とはおのずと表現の目的が異なる。

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マンガとアニメーションの間に(2-1)

■京都精華大学特別講義テキスト

●マンガとアニメーションの間に(2-1)
 第二回「ウォルト・ディズニーをどうとらえるべきか」(1)

●講師・竹熊健太郎

●ウォルト・ディズニーの登場

 ウォルター・イライアス・ディズニー(Walter Elias Disney,1901-1966)は、20世紀初頭のシカゴに生まれた。少年時代の彼は、コミック好きで内向的な性格だった。'17年、彼は高校に入学するが、同時に夜学で美術学校にも通い絵画と写真の基礎を学んだ。ときは第一次大戦のさなかであり、温厚だった彼も愛国心をかきたてられて、'18年に赤十字部隊に志願する。もっともフランスに派遣されたときには戦争は終わっていた。

 帰国後、ウォルトはカンザス・シティのグレイ広告社につとめ、ここでグラフィックデザイナー(のちアニメーター)のアブ・アイワークスと出会う。同い年の二人は意気投合し、ともにカンザスシティ・フィルム広告社に移籍。二人はここでアニメーションを学び、'22年に独立してラフ・オー・グラム社を設立した。

 初めて作った会社で、ウォルトは教育目的のアニメーションや、『ラフ・オー・グラム・シリーズ』というおとぎ話のアニメを手がけた。『長靴をはいた猫』(Puss in Boots,1922)はラフ・オー・グラム・シリーズの一編である。ウォルトは演出家兼アニメーターとして、アイワークスとともにこれを制作した。

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2008/06/17

マンガとアニメーションの間に(1-2)

■京都精華大学特別講義テキスト

●マンガとアニメーションの間に(1-2)
 第一回「ウィンザー・マッケイの人と業績」(2)

●講師・竹熊健太郎

●アニメーション作家としてのマッケイ

 マッケイは舞台芸人でもあり、舞台の出し物としてアニメを始めたことは有名である。彼のアニメ第一作『リトル・ニモ』(1911)は、自作マンガのキャラクターをただ動かしただけの実験作だが、シンプルな線がうごめきながら形となり、それがメタモルフォーゼを繰り返しつつ優雅に動き回るさまには、アニメの魅力の全てが実現されているといっても過言ではない。彼はこの2分強の作品のために、四千枚の原画を描いたという。

 この試みは簡単なストーリーを持つ『蚊はいかにして行動するか』(1912)でさらに追求され、1914年の話題作『恐竜ガーティ』でひとつの頂点に達した。

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マンガとアニメーションの間に(1-1)

■京都精華大学特別講義テキスト

●マンガとアニメーションの間に(1-1)
 第一回「ウィンザー・マッケイの人と業績」(1)

●講師・竹熊健太郎

●視覚による音楽……時間芸術とは何か

 芸術は「空間芸術」「時間芸術」のふたつに大別される。
 空間芸術とは、絵画・彫刻等、静止した空間における形態や色彩を扱う表現である。時間芸術とは、これに加えて直接的・間接的に「時間の流れ」を扱うものをいう。

「空間芸術」の代表が絵画だとすれば、「時間芸術」の代表は音楽である。時間は、音楽にとって表現そのものを規定する根本要素であるが、これは聴覚そのものがもつ特質に依っている。「静止した音」は原理的に存在しえない。どのような音楽でも、それが「音」として認識されるからには、そこには必ず「時間の流れ」が存在しているのである。

 これに対して絵画や彫刻などは、基本的には静止物を扱うもので、時間とは本来無縁の表現である。あえて視覚的手法で時間を扱おうとする場合、そこには必ず「形態ないしは位置の変化(動き)」がともなうことになる。その場合、一枚の絵・ひとつの立体物でそうした変化を表すことは困難なのであって、最低でも「変化する以前・以後」のふたつのビジュアルが要求されることになる。立体物の場合、機械的な動力装置を仕込むことでこれが可能になる場合がある。

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18・19日の京都精華大学講義

「マンガ界崩壊を止めるには」の連載途中ですが、最終回に手間取っています。実は今週水曜(18日)と木曜(19日)に京都精華大学の特別講義が近づいてきました。これの準備がありますので、「マンガ界崩壊…」の続きは週末にアップすることにします。

代わりに、本日中に18日19日の連続講義の使用テキストをアップします。これは多摩美術大学で毎回学生に配っているテキストとほぼ同じものですが(マッケイについては、たけくまメモにかつて発表したエントリが元になっています)、今回の集中講義用に全体から抜粋して再構成したものです。当日は、このテキストをもとに映像をまじえて講義を進めていきたいと思っています。

講義は精華大生のために行うものですが、それをここにアップする理由は、もちろん「たけくまメモ」の読者サービスの一環であるとともに、読者の批評を受けることで、より完成度の高い内容にヴァージョンアップしていくためです。疑問点・ツッコミ等ありましたら、なにとぞメールかコメント掲示板にてお願いしたいと思います。

なおこれのオリジナル・テキストは、現在400字詰め換算で430枚ほどになっています。しかし、まだ圧倒的に未完成なので、全体を出版することは当面はありません。当方の構想では、最終的に1500枚くらいのものになると思います。あと10年くらいかかるんじゃないでしょうか。

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2008/06/10

個人・ブログ・組織

「マンガ界崩壊を止めるためには」の続きを今書いています。「ずいぶん、大きく出たタイトルだな」と知人には言われましたが、俺としては、現役のマンガ家が大手出版社を訴えるということは、もちろん前例がないことだし衝撃的ではあるのですが、雷句誠氏を擁護する形で書かれた新條まゆさんのブログエントリや松永豊和氏の内幕暴露小説など、「業界内部」からこうした声が「今になって」出始めたことに、「時代の動き」を感じて、このタイトルで書こうと思ったのです。

ところがどうも本日中に書き上がりそうもありません。明日は仕事があって、これからその準備をしなければなりませんので、「(2)」は明日の夜以降になってしまいそうです。必ずアップしますのでしばらくお待ちください。

ところで続編でもたぶん触れきれないので、今書いておこうと思うことがあります。それは、今回の裁判が、従来のマスコミ報道の範囲を超えて、当事者がブログで見解を表明し、支援者やギャラリーも、ブログや掲示板でこれについての意見をめいめい表明していることです。

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2008/06/07

スピード社の水着は心配だ

昨日のニュースはスピード社の水着の話題で持ちきりでしたな。当初は国内メーカーの水着にこだわっていた日本水泳連盟も、新記録連発とあってはグウの音も出ず、容認の方向に向かうようです。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080606-00000080-mai-spo
↑決勝5種目で日本新…いずれの選手もLR着用前向き

それで、俺としては選手が望むようにしてやってくれと思うしかないわけなんですが、スピード社の水着には個人的に心配なことがあります。というのは、あの水着は極端に密着度が高いというか、肌にピッチピチに出来ているようで、継ぎ目もなく、着用するのに30分もかかるというから半端な密着度ではありません。

そうなると心配なのはトイレであります。たとえば競技30分前になって尿意を催しでもしたら選手はどうすればいいのでしょう。まさか股間にファスナーはついてないでしょうし、仕方がないから水着のまま排出することになるのでしょうか。

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2008/06/04

内田勝氏のお通夜

本日の告別式はもう終了したはずですが、昨日3日に江古田斎場で行われた内田勝さんのお通夜に行きました。ちばてつや・藤子不二夫A先生などマンガ界の重鎮をはじめ、元東映副社長の渡辺亮徳氏、なぜか「篦棒な人」康芳夫さんもいらっしゃっていました。本日の告別式には出席できませんでしたが、一時代を築いた名編集長とのお別れですから、さぞや多くの人が列席されたのではないかと思います。

焼香が終わってから、「団塊パンチ」編集長の赤田祐一君と3階の待合室で寿司を食べましたが、我々の向かいに康芳夫・渡辺亮徳氏・藤子A先生が座られました。渡辺氏は東映時代はオタク界で有名な平山亨プロデューサーの上司に当たる人で、平山氏とともに「ゲゲゲの鬼太郎」「悪魔くん」「河童の三平」などの水木三部作や、「仮面ライダー」や「ゴレンジャー」など東映変身ヒーローものの基礎を築いた方です。(※鬼太郎だけはアニメなので平山氏は関係ないかも)。

隣に座っていた康芳夫氏が「ボクは借金は返さない主義なんだが、この渡辺さんは特別で、借りた五千万を全額返済したんだ。ボクが借金を耳そろえて返したのはこの人くらいだよ、君」妙な自慢をしながら渡辺さんを紹介されていました。

なお隣にいた藤子A先生は、すでにへべれけに酔っておられました。

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2008/06/02

【業務連絡】2000万アクセス御礼

Takekumamemo200002←2000万超えした瞬間の証拠画面

本日は夜から「たけくまメモ」の管理画面をずっと睨んでおったのですが、たった今、6月2日午後10時50分頃に、当ブログへの累計アクセス数が20000000を超えましたのでご報告いたします。2004年12月14日にブログを開設してからおよそ4年半、雨の日も風の日も適度にサボリながら更新してきましたが、かくも短期間に2000万の大台を超えましたことは、これも読者の皆様のお陰かと感謝の言葉もない次第であります。

Takekumamemo200003 ←本日2日のアクセス解析(緑色がユニークユーザー数)

ただし、カウンターの数字は単純アクセス数でありまして、同じIPからの複数アクセスを除いた数字、いわゆるユニークユーザー数ではありません。幸いココログのアクセス解析には、ユニークユーザー数を示す機能があるのですが、さすがに4年に及ぶユニーク数を表示することは無理であります。

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