コミックマヴォVol.5

« ようやく一区切り | トップページ | そうだラジオを聴こう »

2008/07/26

ポニョ2回目

ポニョの2回目を見てきました。感想を書こうとおもうんですが、その前に全然関係ないんですけど、今やっている『カンフー・パンダ』をどうにも見る気がしません。ポニョ見に行ったらイヤでもポスターが目に付くじゃないですか。たぶん、見たら面白いだろうとは思うんですよ。制作もドリームワークスだし、少なくとも退屈しないだろうと思うんです。

でも俺としてはどうも、パンダがカンフーしているだけで『らんま1/2』を思い出してしまって。内容が違うのはわかってるんですけどね。パンダがカンフーして何も悪いことはないんですよ。コロコロと太ったパンダがアチョーとか飛んだり跳ねたりしたらお子様は大喜びでしょう。しかしそろそろ48歳にもなる中年男が、一人で映画館行って「パンダ一枚」と1800円出す姿が、どうしても思い浮かばないんです。

そんなこと言って、おとといもチケット売り場で「ポニョ。大人一枚」って買って中に入りました。「五歳児のために作った」と言っている宮崎監督が見たら嘆くかもしれません。「俺は一人で何回もアニメ見にくる中年男のために作品作ってるんじゃないんだよ!」と怒られそうです。俺まだ47歳ですが、8月29日に48歳になるんですよ。どうでもいいことですが。

でも2回目も面白かったです。あいかわらず展開が謎だらけですけどね。「今度のポニョは作画枚数が17万枚だそうだ。日本のアニメとしては過去最高記録ではないか」とマスコミの受け売りをこっちのコメント掲示板で俺書いたら、ミクシイの俺のページで藤津亮太・氷川竜介・小川びぃというもの凄いメンバーに「最近のアニメの規模やクオリティは単純な作画枚数だけでは計れません」とたしなめられました。アニメ技術に関して、この三人が出てきたら俺は何も言えませんよ。

最近のアニメはデジタル撮影なので、昔のアナログ撮影だったらセルの重ね撮りにも限界があったけど、今はその制約がないから、枚数が多いから動きがよいとは一概には言えなくなっているそうです。あと原画と動画(中割)の関係も、昔のような単純なものではなくなっているらしい。なるほどそうか。でも『ポニョ』って、過去の宮崎アニメに比べても、極めつけに動きが細かいのは確かですよね。画面の隅々まで動いていかにも「フルアニメ」って感じで、往年のディズニーや東映動画長編を見ているような気になりました。

それから2回目見て気がついたんですが、今度のポニョって、背景に直線が一本も使われてないんですね。建物の窓枠とか、普通は定規で直線引くところも全部フリーハンドっぽく描いている。今回の『ポニョ』って「手描き感」がもの凄いんですけど、動画部分だけではなく、こういう所にも「手描き感」の秘密があるような気がしました。

それで『カンフー・パンダ』なんですけれども、別に嫌っているわけじゃないんですけど、どうしてこれほど「見る気がしない」のか自分でも謎です。『ポニョ』は3回目も見ようと思っているのにですね。『ゲド戦記』は腐ってもジブリということで見に行ったわけですが、その裏でやってた『ブレイブ・ストーリー』のように見る意欲自体がわきません。『ブレイブ・ストーリー』って結局俺見ていないんですけど、どうだったんですかねえ。面白いのかつまらないのか、評判そのものをまったく聞いてないんですが。

ああそうだ、『カンフー・パンダ』がどうにも見る気がしなくて、『ポニョ』は何度でも見られる理由は、実は「タイトルやポスターや予告編から読み取れる情報以上の内容が、本編にあるのかどうか」の違いなのかもしれません。

すくなくとも『ポニョ』って、過去の宮崎作品を見てきた経験から、おそらく「見かけ以上の何か」が含まれているだろうと想像がつくし、いざ本編を見てみたらその通りだったということです。要するに、テレビで流れる「ポーニョポニョポニョ」という主題歌を聴いた限りではどう考えても子供向けなんだけど、実際見てみると大人は大人なりにいくらでも深読みできる内容になっていたと。

たぶん子供と大人で見た印象が180度異なる映画で、「ポニョかわいー」と見ていた五歳児が、大人になって見直して「こんな映画だったのか!」って愕然とするような作品ですよ。「本当はこわいグリム童話」みたいなものです。こういう作品をぬけぬけと作ってしまう宮崎駿さん(68 67歳)には、ただ唖然とさせられるばかりです。

しかし『カンフー・パンダ』には、こう書くと大変申し訳ないんですが、タイトルや予告編から想像する以上の内容が含まれているとはどうしても思えないんです。

これが思い切って見に行ったら、カンフー・パンダというタイトルからは想像もできない映画だったとしたら、たぶんとっくにネットで話題になっているでしょうし、俺も興味を持つと思うんですよ。でもそういう評判はいっこうに聞こえてきません。

たとえばですよ、『カンフー・パンダ』の舞台が本当は四川省の精神病院で、自分をパンダだと思いこんでる糖尿メタボ男(主演・石塚英彦)の映画だったとしたら。それで現実部分を実写(モノクロ)で、妄想部分が総天然色の3DCGで描かれている映画だとしたら、ヒットは絶対にしないかもしれませんけど、俺は見に行くと思うんですよ。

しかし『カンフー・パンダ』はアメリカで大ヒットしているという評判ですから、まず百パーセント、パンダがカンフーして笑わせてちょっぴり泣ける家族全員が楽しめる愛と感動のCGアニメ大作であって、それ以上でも以下でもないはずです。そうに違いありません。

そんな俺が『ポニョ』を楽しんでいるのですから、いかに『ポニョ』が異常なアニメであるかがおわかりになると思います。なんですかポーニョポニョポニョって。子供は騙せても、俺は騙されませんよ。さんざんあんな展開しといて最後がポーニョポニョポニョって、何考えてるんですか。

こう、人生の荒波を乗り越えた88歳の老人がですね、ベッドで横たわっていて、いよいよお迎えが来たと。いまわの際に口をモゴモゴさせているので、集まっていた家族が「おじいちゃんどうしたの? 何か言いたいの?」と耳を近づけると、「ああ、レコードが聞きたいの。おじいちゃんクラシックが好きだったわねえ。待っててね。たかし、応接間からCD持ってきて。おじいちゃんが好きなワーグナーのあれよ」といって、孫がとってきてラジカセに入れたら、これが間違いで、いきなり「ポーニョポニョポニョ」が流れてきてそのままガックリ臨終迎えたようなものですよ。

でも何を作ろうが当たっちゃうからなあ宮崎アニメ。触れたものが全部金に変わってしまう王様みたいなものです。羨ましいというかなんというか。

◎このエントリにコメント→★
◎掲示板トップへ→★

|

« ようやく一区切り | トップページ | そうだラジオを聴こう »

アニメ・コミック」カテゴリの記事

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: ポニョ2回目:

» 宮崎駿監督の話題の新作「崖の上のポニョ」主題歌のメロディが耳について頭から離れないその秘密は…○○○にあった~ [毎日転職を秘かに考える日々&ひとりごと]
宮崎駿監督の話題の新作「崖の上のポニョ」主題歌のメロディが耳について頭から離れないその秘密は、藤岡藤巻と大橋のぞみちゃんのコンビの歌声にあるようですね~何かでやっていたけど「崖の上のポニョ」主題歌の「ポーニョ、ポニョ、ポニョ…」のサビの部分を大橋のぞみちゃんがわざとでないにしろ音程をはずして歌っているのがどうやらミソのようですね!宮崎駿監督は、比較的素人を起用することが多いけど、意外性を狙って?素人を起用する宮崎監督の狙いは今回もズバリ当たったようですね!「崖の上のポニョ」主題歌の「ポーニョ、ポニョ... [続きを読む]

受信: 2008/07/26 15:50

» 花火大会と王宮の花火の音楽 [yosiブログ]
2008/7/27 ながさきみなとまつり花火大会by yosihosi 長崎市では7月26日と27日の2夜にわたってみなとまつり花火大会が催された。 土曜日には3000発の花火が、そして日曜日には5000発の花火が打ち上げられた。... [続きを読む]

受信: 2008/07/28 01:22

» ポニョとカンフーパンダ [Trackback mania]
ポニョ2回目 なんというか、見に行こうとおもいつつそのまま。まだまだ混んでいるのだろうな。映画館。 混んでいるという事を理由にしていかないだけなのか。見たいんですけどね。 ... [続きを読む]

受信: 2008/07/28 10:14

» [アート/音楽/映画] 宮崎駿2.0の臨界点 「崖の上のポニョ」見た [Buddha Over Flow - スキゾなKIDSは時間がない]
先日「崖の上のポニョ」を、家族で見てきた。 未だ多少の混乱を抱えているけれど、とりあえずの感想をまとめておこうかと思う。 まず端的に言って、この映画は前評判どおりの、なかなかの怪作である。 息子にとっては「かわいい」の一言に尽きるらしいこの作品は、僕にとっ... [続きを読む]

受信: 2008/07/29 02:48

» 宮崎駿監督話題の作品「崖の上のポニョ」の全貌が明らかになる日が…「崖の上のポニョ」制作密着から宮崎駿監督の秘密が~ [残りものには福来たる~]
宮崎駿監督話題の作品「崖の上のポニョ」の全貌が明らかになる日が…「崖の上のポニョ」制作密着から宮崎駿監督の秘密が~ [続きを読む]

受信: 2008/07/29 14:24

» 宮崎駿の剥き出しの悪意 [ぼくが真実を口にするとほとんど全世界を凍らせる]
見てきました「崖の上のポニョ」。見る気なかったんだよね、あのテーマ曲聴いちゃうと。DVD出たら見ればいいかくらいで。「もののけ姫」以降の宮崎作品は、それほど、自分にはインパクト不足で。特に前作の「ハウルの動く城」が、宮崎老いたり感があり過ぎた。 けれど、... [続きを読む]

受信: 2008/07/29 20:17

» 「ぽにょ」 [散歩師漫画居士柴岡秀一のくだらなクラブ(R)日記]
 ぽにょ見てきたよ。ちょっとインディージョーンズにするかと迷いましたが。ストーリーとか追えない子供と見たら楽しいだろうなぁ。と思って泣けました。 [続きを読む]

受信: 2008/07/29 21:26

» 崖の上のポニョ [青いblog]
たけくまさんの第二弾レビュー ポニョ2回目 を読んだらもう見ざるを得ないじゃないですか。 臨終間際のポーニョポニョだなんて言われたら。 そんなわけ [続きを読む]

受信: 2008/07/30 21:18

» リセットとポニョ [sioだより]
ごぶさたしてます〜[:たらーっ:] 29日にリセットしまして、ただ今周期3日目になりました。 全周期は25日間(短…) いつもより1時間遅く寝て遅く起きての検温時間のせいもあるでしょうが その割には景気良く体温が上がってくれた高温期でした。 で、その間に観てきましたよ『崖の上のポニョ』[:チューリップ:] 以下、つぶやきは続きで。 ... [続きを読む]

受信: 2008/07/31 11:02

» ポニョ観ました [Comic aliveⅡ]
 『崖の上のポニョ』、原稿中だけど我慢できなくて観てきました。  感想マンガ描いたのですけども、ネタばれありなので、未見の方は読まない方がいいと思います。観てからぜひ読んでくださいー。  誰が何と言おうと、僕は傑作だと思いました。  ↓(感想マンガ....... [続きを読む]

受信: 2008/08/01 15:15

» [映画]カンフー・パンダ 【Kung Fu Panda】 [Oohの日記]
これを見てきた。とうぜんネタばれあります。 カンフー・パンダ ひゃっほー!!おもしれーゼこれ! いやぁ、“これはしくじったな、竹熊さんよ”と思った。大人になってもちゃんとごめんなさいって言えるところをみせてくださいね!というほど良かったですよこれは。ポニョ... [続きを読む]

受信: 2008/08/03 02:06

» ブレイブ・ストーリーのこと [WEBの情報缶!]
楽天から検索された商品ブレイブ・ストーリー(上)¥ 700オススメ度:★★★★角川文庫 著者:宮部みゆき出版社:角川書店/角川グループパブリッサイズ:文庫ページ数:460p発行年月:2006年05月この著者の新着メールを登…ブレイブ・ストーリー(下)¥ 740オススメ度:★...... [続きを読む]

受信: 2008/08/05 10:04

» 石塚英彦のこと [WEBの情報缶!]
楽天から検索された商品 debuya伝説 / 石塚英彦/パパイヤ鈴木¥ 3,179メーカー名SMDその他受託メーカータイトルdebuya伝説アーティスト石塚英彦/パパイヤ鈴木品名/規格番号DVDSSBX 2321 (00000…【新品DVD】debuya伝説/石塚英彦/パパイヤ鈴木¥ 3,380アーティス...... [続きを読む]

受信: 2008/08/11 14:36

« ようやく一区切り | トップページ | そうだラジオを聴こう »