「20世紀少年探偵団」の表紙は恥ずかしい
えー、以前からひそかに制作していた『20世紀少年探偵団』の本がとうとう本日発売になります。映画公開に合わせて作っていたんですが、映画のガイドブックではありません。またマンガのガイドブックとも少し違います。あえて言うなら、『20世紀少年』の重要なモチーフとなっている70年代を、竹熊の視点から記述したエッセイ本ということになります。
直接、マンガについて触れた記述はほとんどありませんが、俺は浦沢さんと同い年であり、主人公のケンヂとも同い年になります。そして、浦沢さんもケンヂも俺も70年の万博にはついに行けませんでした。つまり、作者である浦沢さんと作中人物のケンヂと俺は、まったく同じ時代に同じような体験をしていたという点で共通点があるのであり、ただその一点のみを手がかりに、こういう本を書くことになってしまったのです。
もとはと言えば今から4年ほど前、浦沢直樹さんから直接のご指名で、「竹熊に70年代について解説してもらいたい」と依頼があったことに端を発します。当時連載が佳境に入っていた『20世紀少年』には、1960年生まれの主人公たちの少年時代の出来事が重要なパートを占めており、万博に始まる70年代の出来事や流行りモノが大量に出てきます。
浦沢さんとしては、70年代の詳細な説明を作品内ですることはマンガとして限界があるということで、若い世代の読者のために、ぜひ同じ時代を共有していた人間に解説する文章を書いて欲しいと俺に白羽の矢を立てたということです。
要するに『竹熊版・20世紀少年』をやってくれと。内容はこちらに全部任せるとのことで、非常に光栄なお話でしたが、同時に俺が過去にやったことがないような、大変な仕事になりました。つまり『20世紀少年』の内容には一切触れずに『20世紀少年』の本を書け、ということですから。うまく行ったかどうかはわかりませんが、一所懸命書きました。
本の中ではかなりのボリュームを割いて俺と浦沢さんの「70年代対談」が載っています。この中では浦沢さんの、『20世紀少年』に込めたさまざまな思いが出てきます。『20世紀少年』はいつ、どのように発想したかという興味深い話もあります。俺の文章はともかくとして、この対談だけは、浦沢ファンには必読の内容だと思いますよ。
それで浦沢さんが表紙を描き下ろしてくださるとのことで楽しみにしておりましたら、どっかで見たような恥ずかしいツラが中央にでっかく描かれていて度肝を抜かれました。正直、これが本屋さんに平積みされる可能性を考えますと
なにかの悪い夢のようです。
ともあれ俺の仕事としては、二度とないような珍しい本になりましたので、お読みくだされば幸いであります。
※関係ありませんが本日は俺の48歳の誕生日だったりします。
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