マンガとアニメーションの間に(4-1)
■京都精華大学連続講義レジュメ
第四回「マンガ版『ナウシカ』はなぜ読みづらいのか?」(1)
講師 竹熊健太郎
【A】手塚治虫と宮崎駿の複雑な関係
●手塚の死去(1989年)に際して、様々な雑誌で追悼特集が組まれ、多くの識者が追悼文を寄せていたが、ひとり宮崎駿は、手塚のマンガ家としての功績を十分に認めながらもアニメ分野における手塚の活動を痛烈に批判して世間を唖然とさせた。
→「だけどアニメーションに関しては───これだけはぼくが言う権利と幾ばくかの義務があると思うのでいいますが───これまで手塚さんが喋ってきたこととか主張してきたことというのは、みんな間違いです」(手塚治虫に「神の手」をみた時、ぼくは彼と訣別した」宮崎駿 comicbox 1989.5月号)
→宮崎は、手塚がアニメ作家としては「素人芸」であり「下手の横好き」であって、にもかかわらずマンガ家としての名声をバックにアニメ会社を作ってテレビアニメを始めたこと、それによって日本のアニメ制作環境が大きくねじ曲げられたことを辛辣に批判したのだ。
→しかし一方で宮崎は、自分もかつては手塚に憧れてマンガ家を目指したことを告白している。宮崎の手塚に対する「愛憎」には根深いものがある。
→一方の手塚は、あれほど他作家にライバル心をむき出しにする性格であったにもかかわらず、宮崎について公には不思議と何も語っていない。
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