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2009年6月

2009/06/28

「ヱヴァ」は品川駅を出発しました(ネタバレなし)

昨日見てきましたよ「ヱヴァ」。最初は南町田にある109グランベリーモールで12時20分の回を見て、それから渋谷で用事を済ませて、帰りに歌舞伎町の新宿ミラノでもう一回見ました。グランベリーモールは八分程度の入りで少し心配しましたが、新宿ミラノは夜の回も超満員で、どちらの映画館でも終了時に拍手が出ました。グランベリーモールでは終わって駅に向かう途中で多摩美の教え子に出くわしたんですが、「先生、ヱヴァどうでしたか」と訊かれたものですから、

「旧作とは全然違う。確かに大筋は一緒だし『エヴァ』には違いないが、もう別作品と言っていい。前回の『序』であえてテレビ版の序盤そのままをなぞって見せたのは、これをやるための前振りだということがよくわかった。確かにこういう“リメイク”は見たことがない。テレビ版や旧劇場版も傑作だったけれども、今度の『ヱヴァ』がもしこのテンションのまま完結するようなら、おそらく50年後も語り継がれるような大傑作になると思う」

と答えました。こないだラジオで宮台真司さんや氷川竜介さんと共演したわけですけれども、氷川さんはともかく宮台さんや俺はまったく内容を知らなかったので非常に話しづらかったわけですが、事前に関係者以外には試写も見せないという徹底した報道管制を敷いた「真意」は、この初めて見る驚きを大事にしたゆえだろうと理解しました。

『ヱヴァ』はまだ初日を迎えたばかりで、これから見る人もたくさんいるでしょうから、今回はネタバレに触れずに書きたいと思います。

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2009/06/26

6月30日の精華大で山本順也氏トーク

先日、俺が毎週火曜日に精華大でやっている「マンガプロデュース概論」のゲストに元講談社編集者の丸山昭さんがこられましたが、30日は元小学館「少女コミック」の山本順也さんが俺とトークをします。

山本さんは、70年代に「少女コミック」編集者として、萩尾望都(『ポーの一族』)・竹宮惠子(『風と樹の詩』)・大島弓子(『ジョカへ…』)・吉田秋生(『カリフォルニア物語』)といった大物作家の代表作を手がけた名編集者。当日は竹宮惠子先生を始めとした「24年組」作家との仕事についてお話を伺います。

例によって、他学部・他学年の聴講を歓迎しますので、都合がつく人は3限(1:00~2:30)に本館302教室に来てください。

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2009/06/24

絵のないマンガ(2)

こちらも多摩美卒業生である増田拓海さんの作品『解答用紙は別紙』。これを「マンガ」と呼ぶべきかは議論が分かれるかもしれませんが、見開きを1コマと見るなら、コマを追うごとに時間の流れがあり、展開があって、俺は「マンガ」と見なしていいだろうと考えます。マンガ学会でこれを発表したところ、場内大爆笑に包まれました。世の中には、見る以前には想像もつかない種類の傑作があるということを思い知らされます。いずれ「マヴォ」にも掲載したい作品です。

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2009/06/23

絵のないマンガ(1)

多摩美の卒業生である坪井慧さんの「放課後、雀荘で」。俺が言う「絵のないマンガ」の代表的作品であります。この作品のポイントは、雀卓を囲むキャラクターがすべてセリフ(文字)で表されており、しかも4人ともにフォントを違えていることです。手前の人物のセリフが裏返しになっていて、店の人に勘定を頼む「すみませーん」という文字のみ、文字が正しく表示されて“振り向いた”ことがわかるなど、非常に芸が細かい。この作品は以前「たけくまメモ」で紹介したことがありますが、再度大きい画像でアップします。

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2009/06/22

学会で発表した俺のレジュメ

※昨日の第9回日本マンガ学会における私の基調講演は、以下に掲げるレジュメをもとにおこなった。厳密にこの通りの内容を話したわけではないが、大意は伝わるのではないかと思う。

■マンガ学会レジュメ「研究と実作をつなぐ」

●学生作品に見る「絵のないマンガ」

現在、大学におけるマンガ教育は大きく「実作指導」と「理論研究」に分かれている。両者は今のところ目的がまったく異なるので、ふたつを融合させることは容易ではない。だが、たとえば以下のような作品が大学からは生まれつつある。

多摩美で私は6年前から漫画史を教えているが、毎年課題でマンガを描かせて提出させている。課題は「時間の流れを扱った視覚表現」というおおざっぱなもので、通常のマンガでもよいが、時間の流れさえ扱っていればアニメや油絵、彫刻でもよいという自由度の高い課題に設定している。

Ozawa03_2 ←小沢郁恵「♪」(全14p)

最初の講義の年(2003年度)に提出してきた学生作品が小沢郁恵の「♪」である(図版左)。これはコマと音符、そして男女の台詞のフキダシのみという実験的な作品だったが、「最低限コマと文字があるなら、絵のないマンガが成立しうる」という事実は個人的に衝撃であった。

※小沢郁恵「♪」は「マヴォ」第二号に掲載予定

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2009/06/20

こんなはずではなかったのだが

えー、本日も忙しくてブログ更新もままならない愚痴を書きたいと思います。大学教授になって、まさかここまで多忙になるとは思いませんでした。いや、「忙しくなるよ」といろんな人から伺っていたのですが、たかを括っていました。まあ大学の仕事だけならまだいいのですけど、俺の場合、本来の物書き業もあり、そのうえブログ更新やイベント出演、同人誌活動もありますので、大変なことになっているわけです。

大学教員のいいところは、アルバイトが(ほぼ)自由なところでして、実際教授職をお受けするにあたって「テレビや講演会、著作の仕事がありましたらどうぞ自由にやってください」と大学から言われていたのです。もちろん「講義のノルマはこなしてネ」というのが暗黙の了解ではあるんですが、毎月お給金をいただく仕事として、こういうのは他にあまり例がないのではないかと思います。

なんといいますか、大学教授は限りなく自由業に近い勤め人だというのが、やってみての印象です。その意味では、自由業生活25年の俺には違和感がありません。

世間にはタレント教授という人がいますけれども、なるほど、職場そのものにタレント教授を歓迎する雰囲気(大学の宣伝の一環)があったりするんだな、と思いました。まあ、俺の目的はタレントになることではありませんし、病み上がりということもあるので今後はほどほどにするつもりですが。

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2009/06/18

今度のマンガ学会

次の日曜(6月21日)に東京で日本マンガ学会が開かれます。実は俺、これまで学会に所属しておらず、会合には何度かお誘いを受けましたが、一度も行ったことがありませんでした。それが今年は京都精華大の教授になったということで、行くことになったばかりか壇上でしゃべることになり、慌てております。あと4日しかないではありませんか!

今年のマンガ学会のテーマは「大学教育とマンガ」とのことで、日頃考えていることを話そうと思います。俺の他に東京工芸大学の伊藤剛准教授、同じく東京工芸大学の秋田孝宏非常勤講師、司会を京都精華大学の吉村和真准教授が担当して基調講演とパネル・ディスカッションを行うのですが、たぶん俺の話だけ浮き上がりそうで、今から恐々としております。

それというのも、現在マンガ学科やマンガコース、アニメ学科を置いている大学は全部で40数校あるそうなんですけれども、「実作系」と「理論系」ではかなりの隔たりがあります。俺のいる精華大は実作系の牙城みたいになってますけれども、明治大学国際日本学部などは「日本文化」としてのマンガ・アニメの研究拠点を目指していて、「理論系」の牙城になる感じ。少なくとも、マンガ家やアニメーターを輩出する目的ではないでしょう。

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2009/06/14

「シニフィアンの過剰」

昨日、無事にTBSラジオ「ヱヴァンゲリヲン・破」深夜の緊急鼎談の収録を終えました。放送は今夜、日付変わって深夜1時半から4時まで放送されます。週明けに、ポッドキャストでもネット公開されますので、地方の方はそちらをお聞きください。

http://www.tbsradio.jp/life/2009/06/post_119.html
↑TBSラジオ公式ページ

氷川竜介・宮台真司・俺の三人が雁首揃えて正味2時間のトークをしましたが、映画の中身について具体的なことは何ひとつ触れていない(触れられない)という、異様な鼎談になりました。まあ僕と宮台さんに関しては、試写会すら見ていませんからもともと「知らない」わけなんですが、今回はインサイダー的位置にいる氷川さんの口からも、具体的な情報はまったく出ていません。プライベートでの会話においてもそれは同じでした。

普通、公開前の作品について関係者と話していると、うっかり口が滑って「あ、今のは公開までは伏せておいてください」ということがあるものですが、今回はそれは一切ありませんでした。ただ氷川さんの「察してくれ」と言わんばかりの表情から考えるに、どうやらかつてないレベルの箝口令が敷かれている模様です。ここまで関係者の口が堅いと、かえって胸騒ぎがしますね。

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2009/06/11

「ヱヴァンゲリヲン・破」深夜の緊急ラジオ

えー、6月14日(次の日曜)深夜に氷川竜介・宮台真司・俺の三人で、TBSラジオで「『ヱヴァンゲリヲン新劇場版・破』公開記念 深夜の緊急鼎談」を行います。

http://www.tbsradio.jp/life/2009/06/post_119.html

「ヱヴァンゲリヲン新劇場版・破」公開記念 深夜の緊急鼎談

出演 竹熊健太郎(編集家)    氷川竜介(アニメ評論家)    宮台真司(社会学者) コメント出演 林原めぐみ ほか司会 新井麻希 (TBSアナウンサー)

放送 6月14日(日) 深夜 1時半~4時

「序」の時にも宮台さんと俺で特番をやったんですが、今回はまだ映画が完成しておらず、試写会がギリギリまで間に合わないみたいなので、俺も宮台さんも何も見ないでしゃべらなければならないという非常事態に陥りました。

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2009/06/10

【業務連絡】丸山昭氏トーク報告&コミケ当選しました

Dsc_00202 昨日、京都精華大学の「マンガプロデュース概論」の講義にて、丸山昭氏をお呼びしてのトークが無事終了しました。(写真左)。

手塚治虫先生の思い出、トキワ荘のこと、石森(石ノ森)章太郎先生の「龍神沼」を担当したときの話、水野英子先生を見いだした時の話など、盛りだくさんの内容でした。正直90分ではとても時間が足りず、終わってからも取材に来た共同通信の記者さん相手に3時間、それから京都市内に移動して烏丸御池そばの中華料理屋の座敷で3時間と、マルさんしゃべり続けでした。

今年で79歳になるはずですが、ものすごくお元気で、ちょっとこちらが心配になるくらいでしたが、丸山さんとしては、「自分の残った人生は“語り部”に徹する」と決めておられるらしく、人前で話す機会があれば、体力の続く限り断らない方針でいるとのこと。

こちらとしても、1950年代のマンガ界の話や、トキワ荘関係者が高齢に達しておられるため、丸山さんのこの姿勢はまことにありがたい限りです。

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2009/06/08

精華大生の皆さんへ。丸山昭氏とのトーク講義のお知らせ

京都精華大学の在校生で、「たけくまメモ」をお読みの人に業務連絡です。

今週の火曜日、9日の3限目に、本館302教室で竹熊の「マンガプロデュース概論」の講義があります。今週のこの日は、元講談社編集者の丸山昭氏をゲストにお呼びして、90分間、竹熊の質問をもとにお話を伺うことになりました。

丸山昭さんは、1930年生まれの79歳。1958年(昭和28年)に講談社に入社、翌29年に「少女クラブ」に配属されて手塚治虫『リボンの騎士』の担当編集者となり、そこからトキワ荘に出入りして寺田ヒロオ、藤子不二雄、石森章太郎、赤塚不二夫、長谷邦夫、水野英子らトキワ荘作家たちの多くのマンガ作品に関わりました。

トキワ荘について書かれた回想録には必ず「マルさん」の愛称で登場する伝説の編集者です。すでに80歳近いご高齢ですが、大変お元気で、今回のオファーにも快く応じてくださいました。

当日は以下の質問項目で進行する予定です。

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2009/06/06

「担当がつきました」とはどういうことか

多摩美や精華大で日々、マンガ家志望の学生と接していますと、中には新人賞に応募して、佳作や奨励賞に入賞した人がいるわけです。おめでとうございます。出版社主催の新人賞に入選すると、多くは担当編集者がつくわけですね。これは佳作や奨励賞のような次点の賞であっても、同様ではないかと思います。

それで、奨励賞を受賞して、俺に「先生、僕に○○社の担当がついたんですよ」と嬉しそうに報告してくる人もいます。その顔は、嬉しそうなだけでなく、誇らしげだったりもするんですが、そういう学生に会うたびに「ちょっと待て」と俺は思うわけです。

「ちょっと待って。その担当さんと、作品を掲載する話をしているの?」

と俺が尋ねると、

「いえ、ネームを持って行くと、見てくれます。雑誌に載る話は、まだありません」

と、だいたい同じ返事が返ってきます。

先日、精華大で学部長の竹宮惠子先生と話したときも、そういう学生の話題になりました。竹宮先生の教え子にも、担当がついた学生が何人もいるそうです。しかし先生は、ため息まじりにこう言いました。

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2009/06/03

京都を見物するヒマがありません

現在火・水・木と京都なんですが、ほぼすべて大学にいますので、夜はメシ食べてレオパレスに帰って寝るだけ、金曜日は東京・八王子の多摩美で講義ですので、ほぼまったく京都市内を見物するヒマがありません。

それでも先日、人に案内されて市内にある「妖怪堂カフェ」というのに行ってきました。築200年の町屋で、天井の梁がゆがみ、壁と柱の間に2センチくらい隙間が開いているものすごい建物で、なるほど妖怪が住んでいてもおかしくはない作り。

それ以外には、大学の名物院生で、来日して10年京都に住んでいるので市内のことはなんでも知っている台湾人留学生の呉くんの案内で、修学院にある「ラーメン街道」でラーメンを食べたり。

それで俺は就任早々「××委員」などというものにさせられてしまいまして、昨日それの集まりがあったのですが、大学のことはまだよくわからないのでただ話を聞くだけでした。

どうも、こちらが少し油断していると、気がつくと新しい仕事が増えてしまうようで、うかうかしていられません。おかげでブログの更新もままならないです。ちょっと、書きたいことがあるんですけど本日は朝一番で大学に行きますので、次の更新は週末かも。それでは。

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