コミックマヴォVol.5

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2009/08/31

竹熊君、“紙”はもう、ダメだよ…(前編)

須賀原洋行氏との“論争”ですが、須賀原氏の最後のエントリでは、お互い言いたいことは言い尽くした感があるので、これでいったん打ち止めにしましょうとのご提案がなされました。自分も賛成です。

http://uaa-nikki.cocolog-nifty.com/blog/2009/08/post-fd59.html
↑竹熊さんから反論をいただいた

派手なバトルを期待していた人がいるとすれば残念でしたが、自分ははじめから事を荒立てるつもりはなく、ただ自分の主張がどうもご理解いただけないので(そして、そういう方は他にも多いと思われるので)、須賀原氏に対する返答という形で、他の人も読むことを想定しながら、日頃の主張を再度説明したものです。

ただしこの問題、現時点ではいくつかの予兆的事実に基づく「未来予測」に類するものであることは確かです。同じ事実をもとにしても、解釈の幅が相当に広く存在するので、自分が「崩壊の予兆」と感じていることでも、そうは思わない人もいらっしゃるのでしょう。そういう人にとっては、竹熊の言説は「狼が来たぞ!」と叫ぶ嘘つき少年のように感じるのかもしれません。

もちろん自分は自分の感じていることを素直に書いているまでで、ウソをついているつもりも、人心を惑わしているつもりもありません。

言うなれば、これから出版界(マスメディア)に起こることを予測することは、東海沖大地震を予測しているようなものです。もちろん地震予測は最新の地質学・地球物理学に基づいた科学ですが、自分のそれは20年と少しのフリー編集者&ライターとしての経験に基づく「民間予測」のようなものであります(経済や経営について自分は素人なので)。いずれ東海沖大地震が起こることは「ほぼ確実」だと言われておりますが、それが何年何月に起きて、どのくらいの規模の地震になるのかは、優秀な学者であっても誰一人、正確な予測を立てることができていません。

いつかは必ず来るが、それがいつで、どのくらいの規模かが分からなくては、行政が対策を講じるにも限界があります。せいぜいがその時のために避難ルートを決めておいたり、住民に食料の備蓄や火の始末などの注意を呼びかけるしかありません。住民の側も、多少の注意はしているでしょうが、その時に備えてより安全な土地に引っ越すようなこともなく(いても少数派でしょう)、「来たら来たで、その時に考えればよい」と思っている人がほとんどではないかと思います。

東海沖大地震の場合、これに警鐘を鳴らす言説は無数にありますが、「●日の午後3時きっかりにマグニチュード9.9で来る。推定死亡者100万人」など、日時や規模を特定したよほどエキセントリックな物言いをしない限りは、誰もこれを「デマ」だとは言わないと思います。いつかはわからないが「確実に来る」ということ自体は、すでに社会のコンセンサスになっていると言っていいでしょう。

東海沖大地震のように確実性の高い予測については、日頃からいざ起きた時のための対策をシミュレートして呼びかけることは、呼びかけうる立場にいる者(学者や行政関係者)にとっては、義務と言うべきものではないかと思います。地震が来なければそれでいいですし、もし来てしまったら大惨事になるかもしれないのですから。

さて現在、マンガ界(出版界)に起きている・起ころうとしている「地殻変動」は、立場によって時期や規模にとらえ方の差があることはある意味当然かと思います。自分のように「現行の業界システムは遠からず崩壊するから、今から対策を立てておくべき」と考える人もいれば、「不況は事実かもしれないが、崩壊とは大げさすぎる。崩壊というなら根拠を示せ」とおっしゃる人もいます。

自分としては、予測の根拠(予兆)はすでに十分示しているつもりです。それ以外にも、日々の仕事の中で「体感」している予兆はいくつもあります。自分としては、マンガ・出版・放送等のマスメディアで生活する人間は今のうちに「生き残る準備」をしておくべきだと思うので、そのための「崩壊後の生き方」として、たとえば「町のパン屋さんのような出版社」を始めるのはどうだろうかと提案していたりするわけです。

つまり、俺は、もっぱら危機意識を共有している人に呼びかけているのであって、そうではない人から、「崩壊するというなら、証拠を示せ」と言われましても、正直困ってしまうのです。地震予知と同じで、「いつか必ず来る」としか、表現のしようがないのですから。ですから、冷たいいい方になりますが、危機感をさほど感じていない人は、俺のエントリなど、たわごととして無視すればいいと思うんですよ。実際、これを読んでいる業界人の大部分は、ただ無視していると思うんです。それはそれで、普通の対応だと思います。

太古の昔から「終末は近い」と呼びかける預言(予言)者の類は無数にいるわけですし、そのごく一握りは政治的・宗教的指導者として認められても、99パーセントは「頭のおかしい人」として無視される運命にあるわけですから。まあ、俺としては、俺が書いている一連のエントリは、当たるも八卦の宗教的な預言(予言)ではなく、せめて東海沖地震程度には「確からしい」ものだと信じていますけれどもね。しかし信じない人・信じたくない人に、悔い改めよと迫るほど、俺はお節介ではありません。

しかしまあ、生涯無宗教の俺が、こんな予言者めいたことを書くことになるとは思いませんでした。

今、俺のもとには、さまざまな「業界関係者」からの「予兆」証言が寄せられています。その中には俺みたいにフリーランスの立場から業界の崩壊を前提にして、自分にできる範囲で手を打っていらっしゃる人もいます。ひとつひとつを紹介したいんですが、俺みたいな業界からセミリタイアしている者ならともかく、多くは現時点でもなお業界人として仕事を続けている人ばかりですから、本人と特定されないように表現に注意する必要があります。迷惑がかかるといけません。

長くなりましたので、エントリを分けて、この話題を続けます。

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