コミックマヴォVol.5

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2009/09/12

夏の終わりのサマーウォーズ(つづき・ネタバレ有)

昨日のエントリの続きですが、実はコメント欄で俺が書きたかったことはほぼ書いてしまいました。以下に採録しますが、盛大にネタバレを含みますのでご注意ください。

http://www2.atchs.jp/test/read.cgi/takekumamemo/195/26-29

(以下採録。一部文章を訂正してあります)

26 : たけくま ★    2009/09/12(土) 01:23:08   ID:???

俺が最初エントリで書こうとしたのは、「俺が監督だったらこうする」というものでした。創作に正解はないので、あくまでも「自分なら」ですけどね。

俺が作るとしたら、たとえば田舎の大家族のドラマと、電脳世界の出来事を、はじめは全然関係ないパラレルな出来事として描いていく。田舎の90歳のおばあちゃんを中心にした旧家の大家族の儀式(犬神家みたいな)と、それとは関係なく電脳世界の出来事が進んでいて、そっちは主人公の二人と、旧家で一人周囲から浮いているひきこもりっぽいパソコン少年と、一族のはみ出し者の詫助さんのみが知っている。

ところがOZの世界でのトラブルが、現実世界にも巨大な影響を及ぼすようになり、放送が止まったり交通機関が麻痺したりするが、旧家ではみんな不思議に思いながらも儀式だけは着々と進行する。クライマックスに向かってカタストロフが進行して、いよいよ主人公たちではどうにもならなくなった時に、おばあちゃんのさりげない一言で事態の突破口が見える。実はおばあちゃんは事態の意味をわかっていて、そこからふたつのドラマが交錯する展開になるとか、うまく書けませんが、そういう展開に
すると思ったんですよ。

要するに、旧家のアナログでアナクロな人々が、電脳世界の戦争を最初から理解していて参加する映画の構図に自分は違和感がぬぐえなかったんですね。旧家の人
々にも、警官はまだしも自衛官がいたり、おばあちゃんが実は政界の大物とつながっていたり、ちょっと都合がよすぎる展開だとしか思えなかったわけで。

もし、旧家の人々が事態を理解したまま「戦争」に参加する展開にどうしてもするなら、電脳世界の戦争というわかりづらい構図は捨てて、本当の戦争に巻き込まれる展開にするしかなかったんじゃないでしょうかね。
27 : たけくま ★    2009/09/12(土) 01:30:59   ID:???
上の書き込み、少し訂正。
やっぱおばあちゃんが事態の意味を理解しているのは変だわ。
おばあちゃんは何もわかっていなくて、ただ自分の若い頃や旧家に伝わる格言を話しているだけなんだけど、実はそれがOZの世界の事件を解決する重大なヒントになるとかのほうがいいかもしれない。


29 : たけくま ★    2009/09/12(土) 01:59:25   ID:???
今回は細田監督の原案に基づくオリジナルストーリーですよね。
どうも、細田氏は演出家としての才能は突出しているけど、物語作家ではないのかもしれませんね。
(採録終わり)

ということで、要は自分は、田舎の大家族のアナクロな生活と、最先端の電脳世界の関わらせ方に作劇上の無理を感じたのだな、と思いました(対比そのものは面白いと思う。あくまでも問題は関わらせ方)。たまたま昨日、NHKで細田監督が話をしたんですが、「サマーウォーズ」が細田監督の実体験をもとにしたストーリー(ジミ婚で挙式をすませた細田監督が、奥さんの実家に遊びにいったらいきなり一族が集まって、強制的に披露宴が始まった)だとわかって、「なるほど」と思いましたが。

奥さんや恋人の実家に呼ばれてありがたくも居心地の悪い思いをするというのは、俺も経験あるんですが、確かに『サマーウォーズ』には、実体験に基づいているであろうリアルな演出が随所にあって、そこは感心しました。

で、そういうリアルな体験と、細田監督がかねてからテーマにしている「仮想世界でのバーチャルリアルな体験」をミックスさせたところが、細田監督の狙いだということはわかります。ただ、それがうまく行っているとは思えなかったんですね。

陣内(じんのうち)家が、戦国大名から続く家柄で、主人公が巻き込まれる仮想世界での戦争に、一家全員が協力して戦うというアイデアは面白いと思うけれども、戦闘そのものは仮想世界でのアバター同士のバトルで、リアルな家族はモニター見ながら声援を送るだけというのは、なんかゲーセンのギャラリーみたいで白けます。

監督も、たぶん画面が地味になるのをなんとかしたくて、電気屋の親戚が大学に納品するために預かっていたスーパーコンピューターを勝手に持ち込んだりとか、自衛官の家族が基地から独断で電源車を運び込んだり(いいのか?)とか、一所懸命画面を派手にして盛り上げようとするんですけど、やればやるほど滑った感があるんですよ。

やはりこれは、監督の原案そのものに作劇上の問題 があったのではないでしょうか。なのに、そこには手をつけずに作画や演出でなんとかしようとしたので、どうにもならなかったのだと思います。まあ、アニメに限らず物語を扱った創作には、こういうことはよくあることなんですけど。問題があると思ったら、シナリオを破棄して最初に戻ることが鉄則なんだけれども、ある程度作ってしまってからだと、戻るに戻れないことがあるんですよね。

これは、監督の責任というより、プロデューサーの責任ではないでしょうか。特に今回のように、原作が監督自身の場合、大本の方針に口を挟めるのはプロデューサーしかいないわけですから。しかし今回は監督が原作者で、実質的なプロデューサーも監督なんじゃないでしょうか。

『崖の上のポニョ』を見た押井守監督が、ラジオで鈴木敏夫プロデューサーに向かって「あんた仕事してないじゃないか!」と怒っていましたね。押井監督に言わせると、『ポニョ』の作画と演出は一流だけども「映画になっていない」のだと。その責任は宮崎監督にあるのではなく、そのことをきちんと監督に伝えずに自由に作らせた鈴木プロデューサーにあるのだと押井さんは言っていたわけです。

http://www.tfm.co.jp/asemamire/index.php?itemid=13491
↑鈴木敏夫vs押井守のポッドキャスト

『サマーウォーズ』は、さすがに『ポニョ』ほど監督の独善性は感じません。細田守は優秀な監督ですから、とにかく入場料に見合う映画にしているのはさすがだと思いました。しかし「プロデューサー不在」を強く感じる作品になってしまったことは残念でした。

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