意識がダダ漏れになる恐怖
Twitterを始めたのは昨年の11月20日ですから、そろそろ3ヶ月半になります。でも俺の場合、Twitterはブログの更新告知がもっぱらになっていて、ほかの人みたいに頻繁に更新していません。どうも俺にはブログのほうが性に合っているみたいです。
俺は今、商業の文章仕事って、産経新聞夕刊の月イチコラムだけなんですよ。文筆家としては事実上の休業状態なんですけど、そのぶん、執筆意欲の多くがブログに向かっているのだと思います。Twitterは140字制限がありますが、ブログに字数制限はありませんから、俺にとっては書きたいことが書きたいように書ける都合のいいメディアなんです。
商業雑誌で原稿を書くこととTwitterは、文字数制限があるという点で似ていますね。もちろん文字制限があるゆえに、構成をあまり決めることなく、パッと思いついたことを気軽に書けるのがTwitterの魅力なんでしょうがね。
ただあんまり気軽に書けるので、うっかり普段は人前で口にしないような心の中身をスラ~と書いてしまって、ハッとして後で消すなんて人もいるようですよ。短期間でTwitter中毒になった人の中には、
「Twitterしてると、心の中を何でも書いてしまいそうでコワイ」
と言って、ある日突然止めてしまう人もいる。俺の周囲にも二人いますが、両方女性です。
女性の一人は、夜中に彼氏への愚痴なんかをよくつぶやいていて、なんかのぞき見しているような若干のスリルを感じながら読んでいたんですけどね。そうしたらある日突然止めてしまった。どうもある種の人にとってTwitterは、意識がダダ漏れになるような恐怖を覚えるみたいなんですよ。
条件反射的に書くような人は、後で冷静に読み返して青くなるみたいなんですが、俺は長年の職業病か、読む人を意識して文章を推敲する癖がありますから、反対にTwitterが億劫になることがある。要するにあの文字数制限ですよ。
文章って、内容を規定の文字数に合わせて書くことが一番難しくて、技術が必要なんですね。コピーライターの仕事ってほとんどがこれ(字数会わせ)ですよ。文字が足りなかったり、はみ出たら、デザインが崩れてアウトだったりするので。
だから一文字足りな ければどこかの漢字を仮名に開くとか、反対に文字詰めを想定してピッタリ収まる言葉を選んで文を書いたりする。たとえば「り」とか「!」みたいな縦に細長い文字と、「の」とか「い」みたいな横に広がっている文字では、文字間の詰め方が全然違ってきたりする(横書きの場合)。パズルを解くみたいなテクニカルな作業で、大変な仕事だと思いま した。エッセイや小説の場合は、もっとアバウトに書いても大丈夫ですが。
まあTwitterそのものは、本来カッチリ文字を詰め込むことを想定していないメディアだと思いますけどね。思いついたことを短くサッと書くための形式なので。携帯からでも気楽に使える。極端に書くことへの敷居が低くしてあるので、だからここまでの人間を巻き込むことに成功したんだと思う。
ところが俺は、昔から「気楽に文章を書く」ということになれていないというか、どうしてもネタやオチや構成を決めて書こうとしちゃうんですよ。だから文を書くのにどうしても時間がかかる。
俺、昔から「100字で感想を書け」みたいな問題が出ると、本当にピッタリ100文字で書かないと気が済まない子供でした。「この小説の感想を5枚以内で書け」なんて課題が出たら、意地でも5枚目の最後のマス目を「。」で終わらせてました。別に2~3文字足りなくても問題ないんだけど、そういうところに異常に執着してたんです。
それでTwitterなんですが、ほんの一言つぶやくだけなら別にいいんですが、少し内容のある文章書こうとしたら、すぐ140文字オーバーしちゃうじゃないですか。一文字打つごとに画面に表示されている数字がひとつ減って行って、超えるとマイナスになって投稿できなくなる。それで単語を同じ意味で文字数が少ないものに変えたり、仮名を漢字にしたりして調整するんですけど、これやっていると俺の場合面倒になって「ブログで書いた方が早い」になるんですよ。たぶんTwitterの使い方が間違っているんでしょうが。
Twitterにはまっている人の中には、140文字いっぱいの文章を3つも4つも続けて、長文にして投稿する人がいますよね。小飼弾さんとか東浩紀さんとか。特に東さんはこないだコミケで会ったとき「Twitterは僕のためにできたようなサービスですよ!」と力説していましたが、毎朝Twitterを立ち上げると「@hazuma」のツィートがズラーッとタイムライン上に流れてきたりします。
小飼弾さんはブログも毎日更新していて、よくあんなに書けるものだと感心します。Twitterで長文を連続投稿している人を見ていると、頭の回転が早そうな人が多いので、おそらく彼らは、普段仕事で文章を書いていても、指が頭の回転に追いつかなくてイライラしているタイプではないかと思うんですよ。で、Twitterは彼らにとっては「考える速度と近いスピードで文章が打てる」メディアじゃないかと思う。それで何千人という人がその場で読んでくれて反応もダイレクト。そこがいいんじゃないですかね。
俺の場合は、やはりメディアに求めているものが少し違っているのか、Twitterよりはブログの方が性に合っているようです。理由が自分でもよくわからないんですが。
考えて見れば、俺はブログを始める前にmixiに入っていたんですが、その半年後に「たけくまメモ」始めたら、mixiのほうは、ブログ更新をマイミクにお知らせするだけの使い方になってしまいました。ただマイミクたちのブログへの反応が知りたいので、いまだにmixiも続けているんですけど。このままだとTwitterもそうなりそうな気配です。
でもあれだ、こないだ尿管結石やったんですが、脇腹に激痛が走って、悶絶しながらタクシーで病院に向かっている最中、アイフォーンからTwitterで「これから病院なう」「脂汗なう」とかやっていたんですよ。
その時の読者の反応がリアルタイムで、これはTwitterでなければまず味わえない体験だと思いました。個人的なつぶやきがリアルタイムで全国に流れて、その場で反応までわかる。これはちょっと面白かったです。
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コメント
Twitterに関する良い記事だと思います。私個人もTwitterよりはブログが好きです。結局、Twitterもブログも、その目的や用途や、あるいは、使う人の個性に応じて、向き・不向きのあるツールなんだろうと思います。
Twitterはリアルタイム中継ができるのと有名人との会話が可能なのが魅力だと私は思います。反面、140字の文字数の制限やタイムライン(?)を過ぎると情報の鮮度が落ちてしまうという情報の一過性がデメリットだと思います。ただし、人によっては、特に今の若者の一部にとっては、短い文章の方が好まれるので文字数制限は魅力なのかもしれません。また、ブログのように文章で自分の意見や主義主張や思想といったものを表現するのが苦手な人には、ブログよりはTwitterが向いているのかもしれません。タレントやセレブには、どうしても主張したい主義や思想はないでしょうから、ブログよりもTwitterの方が良いだろうし、彼らのファンにとってはタレントの思想よりは、タレントとの一体感というかパパラッチ的な好奇心を満足させるものを求めているのでTwitterの方が良いのだと思います。
ただ、現時点では、メディアがやたらとTwitterを持ち上げるので勘違いしやすい状況なのだと思います。流行りものを実体以上に持ち上げるのが芸能メディアだから、まあ、その慣習は良しとしても、受け取る側はそれを差し引きして勘定した方が良いと思います。それにTwitterを持ち上げるメディアも最新技術に遅れを取るまいという、時代遅れのおじさんと見られたくないという、ちょっと見栄を張った持ち上げ方ではないかとも感じられます。私の中では、Twitterはあくまでブログ>Twitterであって、Twitterはネットのごく小さな一機能に過ぎないと感じています。
ところで、話は違いますが、電子出版が活況を呈しそうな雰囲気です。たけくま書店を立ち上げた竹熊さんは「さすが!」だと思います。先見の明ありだと思います。池田信夫も電子出版を手がけるようですし、紙媒体抜きの電子出版のみなら、誰でも簡単に出版社をやれそうな感じですね。(←紙媒体を扱うたけくま書店はリスクはあるけど、逆にそれが強みでもありますね。)もちろん、誰でもやれるけれども、問題は中身で、優れたコンテンツを出せるところが商売が繁盛するのだろうと思います。また、紙媒体も十分残ると思います。出版業界は出版社という膨大な小粒の集まりなので、業界全体の変化は民族大移動的な緩やかなものになるんじゃないかと思います。
ただ、漫画のような手書きの絵が主体になるコンテンツが電子出版になるのは良いとして、文章のみのコンテンツは、本とブログの差があまり無くなってきますね。もちろん、著者以外の編集者が加わることで、商業出版される文章は品質の高い文章になっているとは思います。でも、それにこだわらなければ、ブログも本も本質的な差は無いんじゃないかと思います。ネットが無い時代、私は「自分のエッセイとか本にできたらなあ」と思ったことがありましたが、今はブログがあるので、本にする必要も無くなりました。私にとってはブログで十分です。(しかもリンクが貼れるので場合によってはブログの方が便利です。)別に本を売って金儲けしたいわけではなくて、自分の文章を公表したかっただけだったからです。自費出版される人は金儲けが主目的ではなくて、公表というか形にするのが主目的だと思います。本に対するこだわりがなければ、別にブログでも良いのだと思います。ただ、やはり、編集の加わった商業出版は文章のクオリティが高いと思いますので、商業出版はそれはそれで良いものだと思います。あとは読者がお金を出して買うかどうかです。
(脱線ですが、社会にとってフリーの世界が良いのか有料の世界が良いのかは難しいです。どちらも社会を貧しくする可能性があります。フリーは貧者に優しいけどそれをなりわいにする人には酷でその芽を潰してしまいます。一方、有料は貧者には酷だけど、それをなりわいにできます。ですが、享受できる人が少なくなれば、いずれは衰退します。説明不足ですが、結局、バランスなんだと思います。)
問題はコンテンツで、昨今は中身の濃いコンテンツが減ったと思います。新書がそうですよね、新書の中身の薄さに慣れてしまって、つい忘れがちですが。また、文系の研究書が減ったんじゃないでしょうか。私は研究書は意味が分からないなりにも興味のあるものは買って読んでましたが、研究書自体が出版されなくなってしまい、今では過去の古本を買い求めることが多くなりました。結局、便利になったのは良いけれど、中身はずいぶん貧しくなったんじゃないかと感じています。Twitterのような短い文章が好まれるのも、そういった中身の貧しさと関係しているんじゃないかと思いますし、危ぶまれます。ただ、日本人は、昔から、俳句が流行ったように、あるいは、略語を好んだりするように、なんでも縮めるのが好きですから、Twitterは日本人の好みに向いているのかもしれません。
たいへんな長文になってしまい申し訳ありません。以上、失礼します。
投稿: zin | 2010/03/04 10:56
ながっ
推敲しろよw
投稿: un | 2010/03/04 12:34
9000字以上じゃないと投稿できないような
ネットサービスって無いかな?
投稿: chi | 2010/03/04 13:55
Twitterもmixiイマイチ使いこなせていないです。
投稿: 3号佐竹 | 2010/03/04 15:29
ツイッターはバイク
ブログはトラック
理由は、バイクは小さなものしか運べませんがスイスイと細い道も道以外でも走っていけます。トラックは大きくしっかりした物を運べますがしっかり舗装された道しかはしれません。運びたい言葉によって使い分ける感じかなーと思っています。
竹熊先生のツイッターとブログの使い方を読んでいて、トラックでここまでは持ってきましたーっとバイク便でみんなに知らせている感じ。という例えはどうでしょう。
投稿: miyaji | 2010/03/04 22:54
そもそも、自分のつぶやきを人に聞かせようとするなんて、
おかしな人がやることだ。
投稿: q | 2010/03/05 12:31
全否定ワロタ
投稿: 名無しさん | 2010/03/05 13:16
僕の感覚ですが、Twitterの140文字制限は少ないような気がしますが、書いてみると結構書けると思います。
僕は、普通の人がブログやTwitterに書くような思いつきは、メールで誰かに送りつけています。
ブログにすると、誰も見てくれない可能性があります。
Twitterでは、アカウントをとって、「Twitterはじめました。今から数人フォローさせていただきます。よろしく」って書いて、10人フォローしたら、5分後に2人にブロックされ、翌日見たら、更に6人にブロックされてた。残り2人からは反応なし。嫌がられるようなことは書いてないし、「フォロー・リムーブご自由に」って書いている、普段からフレンドリーな人をフォローしたはずなのだが…。
メールなら、内容にあわせて送る相手を選べますし、最低でも、「開いて数行だけ読んで削除」という手間を僕のために払ってくれます。これが迷惑なのでしょうが、みなさんと関わっている感じがするのです。
だから、僕はメールが中心です。
最近は、ブログのコメント欄にも出没します。
コメント欄なら、最低でもブログの主が見てくれるでしょうし、運がよければ他の人にも見てもらえます。
投稿: rs | 2010/03/05 18:38
おかしなひとがやることダ・・ブツブツ・・
投稿: うn | 2010/03/06 14:10
>ブログやTwitterに書くような思いつきは、メールで誰かに送りつけています。
確信犯なんだろうが、あんたかなりの電波だね。
まるで渡辺なんとやらみたいだw
投稿: セックス | 2010/03/07 05:26
精子の量も、書きたい文章も減って来てるので
出すところを制限して、やるときはおもいっきりやるのがいいようです。
投稿: に | 2010/03/08 11:26
ブログはネットの日記です?
そもそも、自分の日記を人に見せようとするなんて、
おかしな人がやることだ。
そもそも、他人の日記を見ようとするなんて、
おかしな人がやることだ。
…なんて、言う人はもういないですね。
昔は情報の公開方法が問題でしたが、
つぶやきですら手軽に公開できる現在は、
何を公開して何を公開しないのか、選択することが重要だと思います。
投稿: SPQR | 2010/03/09 07:13
↑こんな当たり前のつまらんコメントは非公開でいいぞ
投稿: cocchi | 2010/03/09 15:09
2ちゃんのいいとこはそこですよね。
本音大爆発でも身元まで調べる香具師は好事家。つかCIA。
CIAの連中はこれやりたくてわざとネットのセキュリティにホールつくったらしいですな。善意と判ったからいいようなものの。善人の国奴。
投稿: メルヘンひじきごはん | 2010/03/10 09:34
しかし やーっとゲームできる暇ができそうなので
・アドバンスド大戦略(300円
・ファイアエムブレムトラキア776(2600円
を購入。たぶん死ぬまで遊べます。こわくなるほどいい時代ですねっ♪ここんとこのゲームでいずれ手に入れたい作品はイナズマイレブンシリーズのみ。しっかりしてほしいソフトハウス。スパロボがざんねんむねんです。
投稿: メルヘンひじきごはん | 2010/03/10 09:42
iPhoneが東芝のメモリと知ったのでもう叩きませんけど
俺は買うならnetwalkerでつ。目のつけどころがシャープでそ。あらゆる角度から日本の電子業界がアタックかけられてることに自覚的になってください。iTRONもお役ごめんの話を耳にしました。
赤なのでこれはダンバインのほうだなっ。
投稿: メルヘンひじきごはん | 2010/03/10 10:00