“馬の糞”でも表現の自由(2)
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東京都の青少年健全育成条例の改正は先送りになりましたが、似たような条例改正の動きは大阪や京都でもあるようです。
http://internet.watch.impress.co.jp/docs/news/20100319_355839.html
↑「非実在青少年」規制、橋下知事「大阪府も検討」
http://internet.watch.impress.co.jp/docs/news/20100319_355839.html
↑青少年を性的対象として扱う図書類の実態把握・分析を行います。(pdf)
http://www.yamadakeiji.com/pdf/manifesto_new.pdf
↑「日本で一番厳しい児童ポルノ規制条例」を制定します」京都府・山田啓二京都府知事の公約マニフェスト(25ページに記述あり pdf)
この問題、かなり長引きそうな雲行きで、しかも地方にも飛び火の様相を呈しております。まあ確かに、多くの人間が「ひどい」と感じる表現も存在するのかもしれませんが、こういった問題は「表現ひとつひとつ」に対して個別に検討を加えるべきもので、条例や法律で十把一絡げに規制するべき問題ではありません。
表現の何をもって「ひどい」と感じるかは、文化と時代性に応じて変化するものなので、法で規制しようとしても、個人個人で解釈の幅が異なり、結果として拡大解釈を招く恐れがあるからです。
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昨日、西島大介氏の「ひらめき☆マンガ学校公開講義~消えたマンガ原稿67ページ」にゲストとして参加して参りました。会場のTOKYO CULTURE CULTUREという店には、俺は初めて行ったんですけど、お台場にあるオシャレなロフトプラスワンといった感じ。実際、ロフトの元スタッフが独立して経営しているお店だそうです。
第一部は西島さんとさやわかさんが主催している「ひらめき☆マンガ学校」の公開講義で、プロジェクターで生徒の課題作品を見せながら西島さんたちがツッコム、いや、指導していくといった感じで進行。生徒に出した課題も、たとえば「ワンピース」や「NARUTO」のコマ割りを使って自分の絵でまったく違う作品にしてみるなど、生徒の作品が画面に映るたびに場内爆笑に包まれ、「ライブ版・サルまん」といった趣の楽しい授業でした。
俺や伊藤剛氏・泉信行氏は第二部の「消えたマンガ原稿をめぐるパネルディスカッション」に参加。既に俺は楽屋で予告していたのですが、西島氏と大谷氏の『魔法なんて信じない。でも君は信じる』には、個人的に疑問があり、西島さんにはぜひ直接伺いたいことがあると伝えていました。
西島氏の『魔法なんて信じない…』は、版元の不注意で生原稿を紛失され、補償を巡る顛末を西島氏自身がドキュメント・マンガにしたものです。大谷能生氏の解説と併せて、「マンガ表現にとっての生原稿の意味」を問いかける非常におもしろい本だと思います。ただこれは、どこまで行ってもビジネスの問題だろうと俺は思うので、生臭い話をうまく回避して「表現」の問題に持って行ってしまう著者二人の方針には、正直肩すかしを食わされた感がありました。
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←レオナルド博士の等身大ぬいぐるみ
先週土曜日に横浜みなとみらい・ブリリアショートショートシアターで開催された、「ハマの蛙男祭り」にトークイベントのゲストとして出演しました。蛙男商会デビュー五周年記念イベントの一環でして、「ええ?もう五年経ったの?」と驚きました。俺はほぼデビュー時から蛙男さんとお付き合いさせていただいていましたので、本当にあっという間でした。この「たけくまメモ」もこの12月に五周年ですから、蛙男さんのキャリアと「たけくまメモ」は、半年くらい向こうがお兄さんですけど、同い年というわけです。
この五年の間、蛙男さんはネットからテレビに進出し、DVDを多数リリースし、劇場アニメを5本も公開させ、海外にも進出しているわけです。「たけくまメモ」は、相変わらず個人ブログのままですので、蛙男さんの活躍には目を見張るばかりです。会場は7割くらいが女性の印象で、蛙男作品がアニメファンにではなく、女性を中心にした「お笑いファン」に支持されていることがよくわかるイベントでした。
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T・Mさんは焼いた1万円札を俺に送ってきて、さらには焼却する一部始終の映像を自由に使ってくれと送ってきました。俺はそれをyoutubeに載せることを予告までしたんですが、これはある意味でとても「キツイ映像」であり、ネットでの反応がどうなるか予測できない部分があると判断しまして、掲載中止することにしました。
メールの文面から考えて、おそらくT・Mさんにはそこまで世間を騒がせる意図はなかったと思われます。それは俺が彼の行為の感想として「連鎖自殺で中央線に身を投げる人」「タイガースの優勝で道頓堀に飛び込む阪神ファン」と返事を書いたことに対して、「ショックを感じる部分があった、ような」と答えたことからもなんとなくわかります。
確かに俺はダダカン師の「お札焼却儀式」に感銘を受け、究極のコンセプチュアル・アートとして賞賛した記事をブログで書きました。それに対してT・Mさんは「別にそれほど大したことではない。燃やそうと思えば簡単に燃やせた」と映像を送って来られたように思いました。
結果的に俺のエントリには、「できるものなら、やってみろ」と「煽動」していた部分があるのかもしれず、しかしそれは物がお金ですから、結局誰も真似できないだろう、とたかをくくっていたところがあったと思うのです。しかしその結果、本当にお金を燃やされてしまうと降参するしかないのですから、ザマァありません。
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ダダカン「鬼放展」は先週の土曜日に東高円寺会場も終わりましたが、その晩になって、俺とは面識のないT・Mさんからメールが来まして、おそらく携帯カメラで撮影したのであろう左の写真が添付されていました。(正確には添付ファイルでなく、写真をアップしたURLが添えられていた) 本人の許可がありましたので、以下にメールを一部省略のうえ転載します。
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■T・Mさんからのメール
初めまして、自分は●●に住んでいる25の男でT・Mといいます。(中略)
所で、竹熊先生の敬愛されるダダカン氏の鬼放展も今日で終了ですね。自分は昨日行って参りました。途中で買った箆棒な人々をバラッと見つつ。
で、帰ってきてから自分も一万円札を燃やしてみました。竹熊先生の箆棒な人々やたけくまメモの中での「普通はできないことだ」というような記述が気になったからです。
結果としては、まあ火を点けたら普通に燃えました。
焦げ臭さを気にして外でやったせいか、すぐに火が消えてしまうのには難儀しましたが。
もしかすると燃えにくい紙なのか、とも思いましたが最後にはメラメラいってくれましたしおそらく、とくに燃えにくい紙でできている、ということもないのだと思います。
あと指が熱かったです。
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(※前回から続く)
ところで、以前のエントリ(→★)でも書きましたが、ポニョは「さかなの子」と主題歌で歌われているにも関わらず、とても魚には見えないという問題があります。どちらかといえばそれは、江戸時代の画にある妖怪の人魚にしか見えないわけです。(左図)
←人魚図 江戸時代の瓦版 笹間良彦『図説・日本未確認生物事典』より
しかし、主人公の宗介はポニョを見て開口一番「あ、金魚だ」と言いますし、お母さんのリサも、保育園の友達も「可愛い金魚」と言います。このことから、私たち観客は、これは人間のような目鼻がついており、髪まで生えていてどうも金魚には見えないけど、そこは「マンガのウソ」というやつで、こう見えても金魚なのだろう。金魚に違いない。と、うっかり考えてしまいます。
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(※前回からの続き)
なぜ宮崎駿に限って例外的な映画作り(極端な作家的独裁)が許されるのかといえば、もちろん大ヒットするからであって、それ以上でも以下でもありません。しかしなぜヒットするのか、その理由について、俺はこれまで納得のいく説明を読んだことがありません。絵が綺麗だとか、動きが素晴らしいとか、高いテーマ性があるからとか、音楽がいいとか、いくらでも説明はあるのだけれども、それだけが理由だとは、どうも思えないのです。
なぜなら宮崎アニメ以外にも、高いテーマ性をもっていたり、映像や音楽が素晴らしい作品はいくらでもあるからです。もちろん宮崎駿が天才であって、高い芸術性と娯楽性を併せ持った巨匠だということは分かっています。そんなこと、小学生でも知っている。しかし、具体的にどこがよくて、何がヒットの原因なのか説明しろと言われると、とたんによくわからなくなるのです。
宮崎アニメについては昔から言われていることがふたつあって、それは「プロット(物語の組み立て)が破綻している」ということと「プロットの破綻が気にならないほど映像が素晴らしい」ということです。ここでの「映像」には、キャラクターデザイン・背景美術・編集・そして「動き」が含まれます。
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本日はまず『カンフー・パンダ』について書きたいと思います。先日、俺はこの作品について「見る気が起きない」ということをうっかり書いてしまいましたが(→★)、その後いろいろな人から「結構面白いですよ」とのご指摘があり、思い切って見ることにしました。
結論から言えば、見てよかったです。映画として面白かったことはもちろんですけど、それ以上に、『ポニョ』という作品を考えるうえでも『カンフー・パンダ』は見ておいてよかったと思いました。どういうことかといいますと、あらゆる側面から考えて、『パンダ』と『ポニョ』は正反対の場所に位置する作品だと思うからであります。
かつてレオナルド・ディカプリオが記者会見の席上、自分が出演した映画の話そっちのけで『千と千尋の神隠し』を絶賛したことがあります(横にいたスピルバーグ監督まで『千尋』を絶賛)。このときのレオ様の言いぐさが
「まるで別の惑星で作られた映画を見ているかのようだ」
というものでした。(→★)。
レオ様は、ディズニーに象徴されるハリウッド製アニメーションと、宮崎アニメとでは、作り方も内容もまったく異なる方法論に基づいていることを賞賛しているのです。その「あまりにも独特な作風」が、他ならぬハリウッドの中心に位置する俳優や監督の心を動かしたのでしょう。向こうの人は、それが「オリジナルなものであるかどうか」が、なにかを評価するときの中心にありますからね。
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本日の夕方、ようやく原稿が終わりました。『サルまん』のほうは、おととい終わっていたんですけど、もうひとつ20枚ばかしの原稿が残ってしまったのです。ある単行本に掲載する文章なんですが、これから編集者の意見を聞いて修正作業に入る可能性もあります。
今回の『サルまん』は、俺の分担がいつもの倍くらいあったんですよ。今回は、ちょっとまた読者のみなさんのご意見を伺いたいと思ってますので、25日になったらここと公式ブログで発表したいと思います。いや、こちらが用意したブツ(複数)に対して、読者の人気投票をネットでやろうと思っているんですけどね。投票システムのCGIって結構あるでしょう。それ使ってブログでやろうかなと。それで今、フリーCGIでいいのがないか探しているところです。
それにしても今回ばかりは締め切りに苦しみました。いやまあ、いっつも苦しんでいるといえばそうなんですけど。締め切りに間に合いそうにないときには、原稿が書けない言い訳をこちらは考えるんですが、こういう言い訳はたぶん出版史の最初からあって、馬琴や北斎なんかもきっとやったんじゃないかと思われます。
締め切りで行き詰まったときに、俺が必ず思い出すのが柴田錬三郎の『うろつき夜太(やた)』という小説です。これは小説=柴田錬三郎、挿絵=横尾忠則の名コンビで、「週刊プレイボーイ」の1973年から74年春にかけて連載された時代小説なんですけど。
74年5月 (※コメント掲示板での石川誠一氏のご指摘によれば、74年6月にまず小説版が出て、75年に今回紹介した完全版が出たそうです) には集英社から横尾忠則の装丁で単行本(左写真)になりました。「週プレ」サイズの大判で全ページ4色の布装ハードカバーというものすごく贅沢な本で、横尾ブックデザインの最高傑作と言われております(俺が勝手に呼んでいる)。
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あいかわらず忙しくて死にそうです。多摩美の採点はほぼ終わりました。明日の講義が今年度最後になりますが、講評をやりますので今日はそれ用の作品を選びに大学へ行ってきます。『サルまん』の締め切りも今週いっぱいといわれました。どうすればいいんでしょう。
それでもう昨年の話になりますが、31日のコミケ最終日に『ラブコメッサー』の伊勢田勝行監督のブースでご本人にお会いしてきたことを書きたいと思いました。どんな人かと思ったら、ごく普通の人でした。コスプレしてましたが、まあコミケですからそれを含めて普通です。当日は監督のマンガ同人誌と、膨大な伊勢田アニメと特撮のDVDを販売されてましたので、思わず1万円ぶんほど購入しました。
そしたら、「じつは竹熊さんにお渡ししようと思って」と渡されたのが『ラブコメッサー』の原画。監督の許可を得ましたので、ここにその一部を公開したいと思います。俺用にセレクトされたものだそうですが、かなりたくさんありました。
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昨日からコメント掲示板で、◆ OZCI/VVVB2さんと「文章術」をめぐる問答が始まりました。最初は梅棹忠夫の『知的生産の技術』で紹介された「こざね法」という文章作成法をめぐっての議論で、それが「創作」についての話にまで発展して面白いことになっているのですが、俺は今、『サルまん』の締め切りで本当はそれどころではありません。とりあえず展開だけ下にアップします。ログをそのまま載せますので、俺の書き込みには勘違いがあるかもしれません。
本当は資料に当たってきちんと論じたい内容なんですが、そのヒマがありません。中に登場するわからない言葉は、すみませんが各自ググって調べてみてください。◆ OZCI/VVVB2さん、そんなわけで申し訳ないですが、連休明けまでしばらく突っ込んだ相手ができないと思います。ただしこのエントリのコメントスレを作りますので、◆ OZCI/VVVB2さんだけでなく、何か発言したい方がおられたら論議を進めてくださって結構です。俺の考えは、このエントリの続きに書きます。
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